From the North Country

生きることを教わっている 2008年04月12日(土)

  プラスの4度ってこんなに寒かったっけ?
真冬なら快適気温のはずだったのに今日は震え上がった。
お陰で土曜日なのに客足は遠のきまったりした時間が流れていた。
それでも閑古鳥が鳴かなかったのは、数少ないお客様がいつまでも滞在してくれたおかげと感謝しております。

ご主人を亡くして全身が白くなった黒ラブ/ソニアは10歳の今、病を患い奥さんは次の手術を受けさせるかどうか決断しかねているようだった。
その判断材料として私に意見を求めておられたが、私もまたどこまで自分の考えを話してよいのか躊躇していた。
「どんな手術ですか?」
「乳腺をすべて取り除く手術です」
「今、何歳ですか?」
「10歳です」
「う〜ん。微妙ですね。」と私は次の言葉を探していた。

そしたら奥さんは私の助言を促すように言葉を付け加えた。
「先生が仰るには肺に転移している可能性があるとのことです。」
「え?そうなんですか。何歳でしたっけ?」
「10歳。いや正確には10歳7ヶ月になります。」

その言葉を聞いて私の気持ちは吹っ切れた。
「手術はやめた方がいいと思います。
ただし、たとえソニアがどんな状態で余生を暮らそうとも医療に任せなかったことを後悔する自分がいるならば先生のアドバイスに従うべきでしょう。
でも、私ならそうはしません。
まもなくソニアは11歳。
手術が成功し予後がうまくいったとしても寿命は迫っています。
これからをどう過ごしたいのですか?
何歳まで生かしたいのですか?13?14?」

「え!そんなに?」
奥さんのその一言に私はホッとした。
Kさんは心の準備はできているのだ。
ただすべての生あるものがそこに至るまでのプロセスと、後に思い出しても楽しい時間を如何に共有できるかを模索しておられたのだろう。

「食欲もあるし、こうして自由に動き回れるし、のんびりしているように見えるのは10歳なりの落ちつきが出てきたのですよ。
逆に言えば病気の進行ものんびりということです。
もし何年か先に辛い症状が出てきたらその時こそ先生にお願いして、少しでも楽に生きて死ねるようにしてもらえばいいじゃないですか」

なんだかホッとした表情をされたのが印象的だった。

愛犬が死んだ後、少なくとも1年間は誰が何を言っても“とにかくどうしようもない時間”を我々は過ごさなければならず、それだけは仕方のないことで、事故死や急死などのショックと比較しても受容期間があるだけでありがたいことなのだ。

自分や家族つまり現在の人間には法的・人道的に許されない“介護と死の迎え方の選択”が我々犬の飼い主には与えられており、実はそのことが自らを見つめるきっかけとなる『愛犬からの最後の贈り物』となるのである。

いずれにせよ今日のソニアは全然元気な状態で、プラス4度を暖かく感じていたように思えた。
 

混在する季節の中で 2008年04月11日(金)

  久しぶりのレクの森は、乾いた枯葉の絨毯あり、ぬかるみあり、全面30センチ以上の積雪ありと随分楽しめる状態になっていた。
エゾシカが駆け抜けた足跡がくっきり残る分ウサギやキツネの足跡は残らないというそんな狭間の時期にいることを知った。

ペアリングの季節なのかアカゲラが妙に元気がよく短い鳴き声を発しながら飛び回っていた。
2羽の後に1羽が後追いをしていて鳥の世界の切なさを実感し、悔し紛れのドラミングが静かな森に響き渡るのを心地よく感じた。

積雪時より数段歩きやすく疲労も少なかったが、横道に入ったコースでは原始林に迷い込みそうになって結局後戻りをせざるを得なかった。
雪道では踏み固められた道がはっきり分かるのに対し、雪が解けて熊笹が背筋を伸ばし始めた今では先月まであった道がなくなってしまうだけでなく、周囲の見通しが利かなくなって別世界に紛れ込んでいるように思えてしまうのだ。

そんな状況とは露知らず我が家の愛犬アモは薄汚い残雪を通過の際には身体をゴロンゴロンさせ、ヤチネズミの存在を枯れ草の下に見つけては尻尾をパタパタ振り続け、わき道があれば『こっちに行ってみない?』と誘い続けていた。
右後肢はほとんどびっこ状態なのに相変わらず『そんなの関係ねぇ。』とターミネーター状態である。

2時間の散歩の後にアモの身体をチェックするとダニを発見し消去。
帰宅して再度チェックし3匹消去。
Kにシャンプーしてもらったが次回からはシダースプレーが必需品となろう。

おまけに夜になって右足のマッサージをしろと要求してくる。
本物のターミネーターは痛みを感じないはずなのに、こんな時だけはしおらしい愛犬を演じており彼にとってしもべを演じられる今を私は幸せに感じている。

お泊り犬がいる定休日の中でもうまく都合をつけながら過ごせた一日だった。
 

抜け毛の季節 2008年04月09日(水)

  日中のカフェにはまだストーブが必要だけど、今夜の2階自宅ではストーブ無しで全然平気だ。
4月がこんなに暖かくて夏は大丈夫なのだろうか?

もうひとつ気になるのが我が家の愛犬アモの抜け毛のこと。
これまでその抜け毛の多さに苦労させられてきたのに、昨年の11月頃から現在に至るまで殆ど抜けなくなっている。
去年までは冬の間でも抜け続けて「どうなってるの?」と首をかしげていたのだが、今では暖かすぎる春でも抜けないことに首をかしげている。
『もしかして今年は冷夏?』

まあたぶん、来週で7歳になる年齢のせいと、我が家にやってきて3年で精神的な不協和が解消されようやくそれが身体に反映され始めたのだろう。
環境に順応しやすいラブラドールの血であってもゴールデンの血が混じるとこのような感受性を示すことが往々にしてあるから。

いずれにせよ来月の今頃はブラッシングに追われるような状況になっているはず。
“ドサッと抜けてピタッと止まる”これが理想だ。

そういえば昨年ブレークした抜け毛取りの“ファーミネーター”が3個残っている。
今のところ仕入れの予定はないから売り切れ御免の商品だ。
昨年の時点でどこのインターネット価格よりカフェでの販売価格のほうが安かったのは痛快だった。
Kが安く直輸入してくれたおかげであるし、利益よりも抜け毛の少ないわんこと来店いただくように配慮した結果でもあった。

お弁当に抜け毛が入っていても平然と指でつまんで取り出し、何事もなかったようにできるおおらかさが私たち犬と暮らす人間にはあって、それはある種の美徳であり逞しさであるように思う。
『細かいことをいちいち気にするな』
今の社会には必要な人間力だが、おおらか過ぎてもよくない。
そこら辺のバランス感覚は失わないようにしたい。
 

誤解と正解 2008年04月08日(火)

  夕べのこの欄で『カフェの宣伝を自粛する』と書いたら、“北海道のドッグカフェ本”の出版でお世話になっているYさんから「ご迷惑をかけた」とメールを頂いた。
とんでもない。恐縮するのはこちらの方である。

自粛するのは『その他』の出版物であって、あのような愛犬家お役立ちの本に無料で掲載していただけることにはとても感謝している。

Yさんは仕事上大きなプレッシャーを受けていたのだ。
“北海道のドッグカフェ”や“わんこと泊まれる宿”を編纂した結果、過去に掲載したお店から「次回の掲載はお断り」との申し出が何件かあったという。
その理由は宣伝効果の果てに訪れた『とんでもない自称“愛犬家”の無頓着や横暴な振る舞いで、お店や他のお客に迷惑をかけた』というのが多いらしい。

わんこOKのお店には大別してふたつのタイプがある。
・Aタイプはドッグランやドッグカフェのように開設当初から犬の受け入れを想定した施設。
・Bタイプは『わんこも』OKと良心的な受け入れを表明している施設。

Aタイプの私どものカフェでさえごく稀に『何?この飼い主』と思うようなケースがあるのだから、Bタイプの施設では『冗談じゃない。やめた、やめた!』という申し出があったとしても全然不思議ではない。

Yさん。
だからといって“ドッグカフェ本”などの出版にプレッシャーを感じる必要はないのですよ。
あなたは“未来を拓く”大切なプロセスを築き上げてくれているのですから。
何と言ってもあなた方の出版物には『生体販売をしている店は掲載しない』という明確な柱があり、そのことに私は心からの敬意を日頃から抱いているのです。

Bタイプの施設でのお困りごとは排尿やマーキング・吠え・傍若無人な振る舞いであり、それに対する飼い主の無頓着と横暴である。
とりわけ無頓着は救いようがないから、『それが犬を受け入れるということなら…』という結論に達し、排除へと向かうのだろう。

マーキングするのは止めようがない?
とんでもない!
繁殖予定もなく将来ドッグカフェやペンションを利用するつもりなら生後6ヶ月頃に去勢しておくのが常識で、そのことでマーキングを止めさせる基盤が出来るということを飼い主は知っておくべきなのだ。

それすら行わず愛犬と生活する人々を責めるつもりは全くないが、その場合はカフェやペンションなど社会との関わりを放棄して、周囲に迷惑をかけない我が家での生活を心がけて欲しい。
政治では浮動票の一員もありかもしれないが、愛犬と暮らす場合にはスタンスを明確にしないといけないのだ。
曖昧は多くの場合許されない。

こんなことを書くからカフェの業績が伸びないのが分かっているのだが…止められねぇ。
Yさん一緒に頑張ろう!
 

自営業だから・・・ 2008年04月07日(月)

  春の暖かさに誘われてか週末のカフェは随分と混み合い皆さんにはご迷惑をおかけしました。

すでに取材を受けたり依頼原稿を提出したところもあるので、今後もそれを読まれた方がひょっとしたらまたカフェを訪ねて来られるかもしれない。
でも、これからしばらくはもうそのような露出を自粛することにする。
宣伝効果によって集客を伸ばしても、小さなカフェでは受け入れきれないことがよく分かったし、お客様にも迷惑をかけるし、何より私たちが楽しくないからだ。

土日の閉店後、カフェの玄関前や店内の数箇所に小型犬のマーキングの痕跡があり、その多くをまりちゃんの愛犬らむが嗅ぎつけてくれた。
普段なら飼い主さんからの『ごめんなさい』があったり、我々がすぐに気づいて後始末をし無頓着な飼い主さんには注意を促すことができるのに、混みあっていてしかも初めてのお客さんが多いとそれもできなかった。
このままじゃ5年目にして私たちの大嫌いな“臭いカフェ”になってしまう。

犬のしつけがまだちゃんと出来てなくてもそんなのは問題じゃない。
愛犬と人間社会でちゃんと暮らせるようなマナーとしつけを考えておられる飼い主(模索中も大歓迎)とならいくらでも一緒に楽しくやっていけるのだから。
だが、無頓着だったり見て見ぬ振りをするような飼い主だけはお断りである。
“敷居の高いカフェ”と言われようが、明日のない飼い主にはドッグカフェナガサキは相応しくないといえる。

心根は熱くとも静かな住宅街でひっそりと『知る人ぞ知る』のドッグカフェに立ち返ろう。
食うに困り始めたら5万円をフンパツして折込チラシを入れる位の生活が私たちには似合っている。
楽しくなければ自営業をやってる意味がないではないか。
 

道南の旅 2008年04月04日(金)

  道南の旅に出かけてきた。
予報はすべて雨。
それでも休みを取れるのは今回しかない。
思い切って出かけたがやはり雨。
長万部のカニめし、Goo!
これまでは弁当ばかり買っていたけど、今回は時間たっぷりだから本店のお店でカニめしセットを注文した。
ボリュームたっぷりであの甘辛い佃煮も添えられているし、カニサラダに茶碗蒸しも旨い!

雨上がりの時間を見計らい、途中の牧草地でアモとのた打ち回ってそれなりに楽しみながら到着したのは鹿部町。
わんこと泊まれる宿『倉敷』に到着するなり記念撮影でビックリしたけど、以後は自由で思いっきりくつろげたし美味しい夕食をご馳走になった。

翌日の今日は、予報に反して晴天の一日で鹿部公園を散歩することが出来たが公園の川向こうから管理人が「犬を繋げ」と(よく聞こえなかったがたぶん)叫んでいた。
見渡す限り誰もいない公園なのに…規則は規則なんだろうから仕方がなかった。
どこの公園の立て看板にも『犬はリールで』とあった。
さすが漁業の町である。
犬を“リール”で繋ぐとは磯釣り冥利に尽きる。
とてつもない引きを楽しむことが出来るに違いないだろうから。

大沼公園から駒ケ岳を望む景観もいつものようにスッキリしていた。
ともあれ118円のガソリンを補給しながら短い旅を楽しむことができた二日間であった。
もっともっとの話題があるのだけどそれは明日からのカフェでお伝えすることとしよう。
 

隣家の工事開始 2008年04月02日(水)

  ついに北側の空き地に重機が入った。
つまり家が建つのであり、カフェの雪捨て場が消えたということである。

隣家にとっては夢のマイホームへのスタートであり誠に喜ばしい日なのに、周辺住民にはこれまでの身近な雪捨て場がなくなり『この冬からどうしよう』というエゴともいえる悩みが持ち上がる。

『これまでの5年間ありがとう。お陰様で雪捨て場として活用させていただきました。』
そう感謝して暖かく迎えるのが礼儀であろうから、頭を切り替えて年末に向け対策を考えることにしよう。
だってカフェも5年前には空き地だった場所に建てたのだから、お向かいさんは気を揉んだに違いないのだ。
願わくば東側の木立が何本かでも残ることを祈ろう。

しばらくの間、カフェご利用の皆様には騒音などでご迷惑をおかけすることになるが、これもまた犬たちにとっては良い社会経験となるはずだ。
今日は地響きと6メートルほどもある鋼鉄の杭打ちの音が轟いていたが、みんなで楽しそうに遊んでいるものだから取り乱す犬はいなかった。

とはいえ明日からカフェは連休だし、お泊り犬もいないのでこの騒音から逃れ家族水入らずの時間を過ごしてこようと思う。
生憎の天候のようだが気分転換になればと楽しみにしている。
その報告は後程。
 

こんなのあり? 2008年04月01日(火)

  「大雪になってるよ」

このところ気温が低く夕べは強風が吹き荒れていたのでKのその言葉に「除雪?除雪しなきゃ!」と私は反射的に飛び起きてカーテンを開けた。
「へへ」
そう笑ったKの方が一枚上手だった。

今日が4月1日であることは夕べから分かっており、寝る前に『今年こそ騙されないでおこう』と心に決めていたのに“寝起き”を急襲された私は成す術もなかった。

「それとね、スタッフMからメールがあって体重が5キロも減ったんだって」とKが教えてくれた。
この頃にはさすがの私も冷静になっており
「あ、そう。暫定税率のガソリンと同じですぐに元に戻るって伝えたら?」と答える余裕ができていた。

すると突然の“できちゃった結婚”で、いずれカフェを退職することになっているAsamiが、既に誰にもウケない時間帯に出勤してきて
「再検査したら双子だったんですよ!」と場をシラケさせた。

さらにカフェの常連で『この欄(北の国から)の名作選を絶対出版するんだ!』と孤軍奮闘してくれていたYさんから「実は今年の夏に結婚することになって仕事を辞め静岡に帰ることになりました」とメールがあるとすぐさまKが返電を打った。
「私も20年下の愛人ができたので結婚式には参列できません」

もう何がなんだか分からず誰を信じればいいのか混沌とした一日だった。

そしたら極めつけがあった…
「私…やっぱりオーストリアに住むことにしました。犬たちのこと宜しくお願いします。(だって犬のことを深く教えてくれたのも、馬のことやスペイン乗馬学校のことを教えてくれたのもあなたたちですよね。私の人生は変わりました。私、幸せになります。)」
なんとレオンベルガーとチワワを私たちに託したいという、相談ではなく宣言というか通告があったのだ。
去年から愛犬の長期お預けを繰り返しているHさんは悪びれる様子もなく、目は既に遥かオーストリアにあるようだ。
私の頭はクラクラするばかりであった。

日付が変わる少し前に我が家の愛犬アモをガーデンに出した。
「わあー!凄い吹雪だぁ!」
私の叫びにKは冷ややかに反応していたが、アモはオシッコをした後、空気の抜けたバスケットボールを咥えたまま2階に上がってきた。
普段許されることのないことが今日は許されると理解しているようだった。
 

気楽なお泊り犬 2008年03月30日(日)

  3月は雪解けと積雪を繰り返す自然の思わせぶりでいたずらな季節である。
それが今年は爛漫の日々が続き一気に春が訪れたものだから、嬉しい反面どこかスッキリしないわだかまりのような気持ちがあった。
だから金土と二日連続の積雪に少しホッとしている。
『これで心置きなく春を迎えられる』ような気がするから。
“降らば降れ降ってこそのああなごり雪”
そんな心境だ。

今夜のお泊り犬ラブのマックスと秋田のももが私の後ろで静かに眠っている。
マックスは数年前から見ればすっかり落ち着き高齢の域に踏み込んだように感じる。
以前は遊びが前面に出ていたのに最近では家族への甘えが主流で鼻鳴らしが多くなった。
でもお泊りになると控えめで鼻鳴らしも全くなく昔のように叱る場面もないので私たちにとってはとても楽なわんこになっている。

秋田のももはここが第二の我が家のように思っているようだ。
秋田だから誰とでも付き合えるわけではないので日中は事務所にいることが多いが、そのこと自体ももは知っているようで『こっちの方が気楽でいいよ』と受け入れてくれている。
その代わり散歩時間は長く、ニコニコしながら楽しんでいるのが可愛い。

4月に入ればお泊り犬もいなくなる。
水入らずの日々も必要で、そんな日にはアモにたっぷりの時間を注ぎ、かくれんぼや宝探しの楽しみが待っている。
よし、もう少し頑張ろうという気になってきた。
 

根上げと値上げ 2008年03月28日(金)

  時折霧雨が降る原始林を昨日も歩いてきた。
曇天のおかげで人影もなく気楽に歩けたが、所々で緩んだ雪に足が埋まり6キロの行程は相当疲労を伴うものだった。
「こんな天気だから今日はやめようよ」
そう言っても我が家の愛犬アモの目は曇るばかりであり、毎回右足が痛くなるくせに「そんなの関係ねぇ。人生は短いんだから。」との主張に私は「分かったよ。行こう。」と言うしかなかった。

案の定今日は二人とも足腰が痛く、とりわけアモは階段を上るのにも苦労していた。
私は静養を決め込みアモも同意してくれると思っていたが、昼過ぎになると「ねえ、今日も休みだよね」と訴え始めた。

結局昨日より寒く天候も悪い中、雪解けやらぬ平岡公園を1時間ほど歩くことになった。
シジュウカラとコゲラが元気な声で私たちを励ましてくれていたが、帰宅後はKと二人でアモを抱きかかえながら2階に運びあげた。

家ではKがお泊り犬のMちゃんの面倒を見てくれていた。
夜になって私たちとボール遊びに夢中になっているMちゃんだが、言葉で表現できない妙な行動が多くやはりどこかおかしい。
この子の両親はどんな犬なのだろう?
いつ頃どういう環境を経て飼い主の元に辿りついたのだろう?
興味はあるがとにかく明日の夜まで無事にお預かりしなければならない。

今夜ニセコのルヒエルさんが新作を含めたジェラートを届けてくれた。
オーナーのSさんは「心苦しいのですが4月から値上げをすることになりました。円高なのですが、うちはイタリアの原料が多いうえに乳価も上がるのでご理解下さい」と恐縮されていた。
ユーロに対しては円高ではないし、乳価はもっと上げないと北海道の酪農はやっていけない状況にまで追い詰められているから仕方のないことだ。
この国は信じられないほどの狂気で農林水産畜産業を炭鉱のように潰す気でいるようだから、どうしても私たちが守らなければならないのだ。

小麦などの大幅値上がりも決まっているからカフェ部門も在庫を見ながら値上げ時期を考えなければならない状況にある。
もともと大した利益のないカフェ部門だから本来なら閉鎖するのが正しい経営判断なのだろうが、働いている私たちにとってカフェは間違いなく楽しい存在になっている。
だからこの際それなりの利益を生み出すような適正価格を再検討することになると思いますので皆様のご理解をお願い申し上げます。
企業努力というような余裕ある言葉は零細事業者にはもはや存在していないと思う。
ただひとつカフェで出来ることがあるがそれはやりたくない努力だと思っている。
カフェの顧客をどんどん増やし、さらに1時間以内で帰っていただくようにして回転率を上げること。
やだね。そんなのはドッグカフェナガサキじゃないから。
 


- Web Diary ver 1.26 -