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近所に住んでいるボーダーコリーのさくらは今日で4回目のレッスン。 他犬に対して牙を剥くことがあるというので慎重に訓練を進めている。 感情表現が少なく何を考えているのか分からない。 気に食わないと人も咬むのか、それとも単なるパフォーマンスか?
これまで3回のレッスンでは、私の設定した訓練コースは近所に住むさくらにとって既知の生活コースであるからまるでスキを見せず大人の対応を見せていた。 周囲の状況に戸惑うこともないし、私の横をとにかく淡々と歩く。 だが、オスワリなどの命令を与えても決して従うことはなく、強めに接するとジロリと私を睨むことがあった。
強引な手法を用いて関係をこじらせると回復に長い時間がかかりそうな性格のように思えるし、かといっていつまでもさくらの生活コースで訓練していても埒が明かないと思えた。
「車には大人しく乗れるんですか?」と飼い主に尋ねてみた。 「無理だと思います。大騒ぎになりますから…」と飼い主。 私はKのマーチを借りて、車庫で乗せてみた。 少々手こずったがなんとか乗せることができたので、リードをヘッドレストに結わいつけ別の訓練コースまでドライブした。
車内ではさくらが興奮して騒ぎ始めたが、私もさくらの度肝を抜かせるような声を張り上げて応戦し、片手でボディーブローを数発ぶちかまして我に返そうとした。 さくらからの反撃はなかった。
新しいコースでもさくらは戸惑うことなく歩いたが、相変わらずオスワリの命令に従うことはなかった。 マテの命令を交差点ごとで行ったが、どうやらマテはこれまで全く教えられていない項目のようで、初めて「何それ?」という顔をしていた。
僅か30分のショートレッスンだから今日はこれでおしまいにした。 が、明らかに主導権は私が握り、さくらは取り乱すことなく新たな状況に感情を表し始めた。 今後の見通しはまだ立たないが、感情表現があったことで次へのステップが見え始めたのは大きな収穫であり、徐々にさくらの心を開き、教えたいことを素直に受け止められる犬に変化させてあげたいと思っている。
当面のバロメーターが“車内での振舞い”という目に見える設定が得られたのも収穫だった。 あと数回のレッスンでさらなる方向性が見えてくるだろう。
最初から訓練に入れる犬もいれば、導入段階を慎重に行わなければならない犬もいることを今夜は知って欲しかった。
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