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今夜のお供は宮崎県高千穂町の『東国原(ひがしこくばる)』 お土産に頂いた芋焼酎で有名な知事のそのまんまの苗字が冠せられ、似顔絵入りの意匠札がぶら下がっている。 20度数なのでそのままスルスルと喉を流れていく感じがよい。
高千穂はこれまでに3度ほど旅したことがあり、あの渓谷美と厳かな岩戸はいつまでも心に残っている。 それとは別に高校生の時には当時駅前にあった『小僧寿し』を食べ、その安さと美味しさに感動した記憶がある。 以後、若い頃の寿司といえば『小僧寿し』であり、貧しくとも「寿司を食べた」という満足感を得ることができ大変世話になった。 小僧寿しとマルちゃんのしょうゆラーメン。 このふたつの組み合わせは抜群で、食後にさえ「よし明日もこれでいこう!」と思ったものだ。
5年前の高千穂はずいぶんと観光地化がすすんで風情がなくなってしまったが、北方町から向かう途中にある青雲大橋に立った時には140メートル下の谷底に足が震えたことを覚えている。 ところで私が見逃してしまった駅前にはまだ『小僧寿し』が残っているのだろうか?
あの旅の途中でいろんな人に出会ったが、なかでも癌の告知を受けながら自分の趣味である全国の美術館巡りをしていた男性のことが印象深い。 定期的な治療の合間をぬって車での一人旅はどんな想いで続けておられたのだろう。
今度私が旅に出る時は一人じゃないからまた違った視点で物事を感じることができるはずだ。 その時にはどんな出会いがあり何を感じるのかを今から楽しみにしている。
土産に頂いた一本の焼酎が旅の思い出を蘇らせ、これからの旅への欲求をかきたててくれた。
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