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日中から秋を思わせるような虫の音が響いていたが、今夜は窓を閉め切って、冷たい夜風が入らないようにしている。
このところ初めてのお泊りワンちゃんが続いて、夕方以降ものんびりすることができずやや疲れ気味だ。
カフェに何度か来て頂いて、“お預かり可能”と判断した犬のみお泊りをお受けするという方針は正解だったと思う。 もし、すべての犬をお受けしたとしたら、責任から生じる精神的な疲れだけではなく、吠え立てる犬やトイレのしつけもできてない犬に立ち向かう極度の精神疲労や肉体疲労それに室内環境の破壊・汚染に滅入ってしまうところだった。
今日のカフェに、知り合いのワンちゃんを預かって苦労しているKさんが遊びに来てくれた。 「前回預かったチワワは家中にマーキングをするようなとんでもないわんこで、しかも年末年始だったので実家に連れてったら親は怒る怒る。『二度とその犬と来るな!』って言われた」
そして今日一緒に連れてきたフラットコーティッドレトリーバーもそれはそれは大変なわんこだった。 甲高い声で吠えるは、放置すれば無差別に他犬に突進するは、オスのラブラドールに乗っかって腰を使うは、無法と無礼の限りを尽くさんばかりの勢いがあった。 我が家の愛犬アモが3度ばかり「無礼者!」と大声で威嚇すると途端に態度は控えめになったが、それでもしばらくすると勢いを盛り返して他犬にちょっかいをかけようとした。 ついに間に入ったアモはこの犬に「キャンキャン!」と言わせたが、それからどういうわけかアモに対して目がハートマークになり、すぐに完全拘束の罰を受けてゲーム終了。
「日中10時間もマンションで留守番させられてるんだって」とKさん。 「まあ!ひどい。犬を飼うというのは子供を一人育てるのと同じことなのに。そんな人、犬じゃなくて亀でも飼えばいいのに…」とK。
帰り際、Kさんがレジに置いてある名刺サイズのカフェカードを一枚つまんだのを目撃した私は思わず叫んだ。 「ダメだよぉ!飼い主にそれを渡しちゃ!カフェのこと絶対教えるんじゃないよ!」
Kさんはニコニコしながら帰っていった。
扱えるワンちゃんだけお預かりしてお金を頂き、それでも疲れ気味の私たちと、大変なワンちゃんを無償で預かりニコニコしながら惨状を語るKさん。
冷たいほどの外気の中、まるで中秋の名月の雰囲気の満月を見ながら考えさせられたけど、やっぱり我が家じゃ預かれない。 そんな飼い主のイヌ。
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