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「散歩でしょ?一緒に行ってもいいかなぁ?」 カフェの閉店時間までおられた黒ラブ/レオの飼い主K田さんが声をかけてきた。 「もちろんですよ。一緒に行きましょう!」 私たちは店内清掃もせずに準備を始めた。
「アモちゃん、ベンベンして」 駐車場でKが声をかけると、10数秒でアモが排便を始めた。 「凄いなぁ。言えばすぐにしてくれるんだもんなぁ」 K田さんは感心しておられた。
実は今では私が指示をしても、散歩前のアモは滅多に排便をしてくれないのだけど…
盲導犬の訓練では歩行前の排泄は基本中の基本であるから、当然それを教える技術を私は持っている。 でもそれは盲導犬だから教えておいたことであって、目が見える私が一緒に歩いているのだからいつでもちゃんと処理できるし、アモも『出先の道端で開放感を味わいながらウンチすると、気持ちいいんだよなぁ』と私に訴えかけるから、今ではアモにとって私はとても使いやすい飼い主になってしまっているということだ。
でもKは違う。 「散歩先でウンチを拾うのも、それを持ち運ぶのも嫌だからね!さっさと済ませなさい!」 まるで訓練士のように一貫して毅然としているから、アモは盲導犬のように忠実に従っている。
今夜引取りのMダックスも一緒に散歩したのだが、飼い主と歩くと他犬を見ては吠えるというわんこも私たちと歩くと吠えることなく、一心不乱に尾を振り振り先を急いでいる。 その気持ちを言葉に表すと 「玄関過ぎたら2分でごはん。玄関過ぎたら2分でごはん。」 と、『ともかくこの散歩が終わらないと夕食にありつけない』との思いがしっかり表れている。
人気のない道路や公園ではアモをフリーにし、誰かを遠くに発見したらアモが止まるから呼び寄せてリードを付ける。 K田さんには、そんな私たちのいつもの散歩の様子が勉強になっているようだった。
これってカフェの新しい名物になるかもしれない。
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