From the North Country

今日はいい日だった 2006年09月07日(木)

  雨の定休日となったが予定通りKと私は我が家の愛犬アモと居候犬ウィンピーを連れてドライブに出かけた。
月形の皆楽公園では誰もいなかったのでノーリードで池の周りを散策し、いつもはカフェの上空を飛んでいる姿しか知らないアオサギを間近で見ることができ、その大きさに感動した。
アモは濡れた芝生の上でいつものようにごろんごろん転がり、ウィンピーは一人では遊べずKにまとわりついては周辺を駆けていた。

さらに車を走らせ新十津川の徳富川河川敷で、ゆっくりした散策を楽しみ川辺にも近づいてみた。
意外にもアモは川に入らず水辺をうろうろしているだけだった。
「まだ足が完全じゃないのを知ってるんだろうか?」
私たちはその後も無理をさせず車に乗り込み、砂川にある北菓楼本店で遅い昼食をとることにした。

北菓楼にはドッグガーデンもあるが、ガーデンではケーキセットのみで食事ができないため、犬たちには車で留守番をさせ、Kはチキンカレーを私は畑のスパゲッティー(温製カチャトーラ)を食した。
値段は安くても、こう言っちゃなんだが、我がカフェの特製カレーと冷製カチャトーラの方がずっと美味しいと思えた。
ただ、周りの方が食べているケーキセットのボリュームとその値段525円という安さは驚きだった。
このお店の本命はやはりケーキや菓子にあるようだ。

話は変わり、帰宅し夜になって秋田の力からうれしい電話がかかってきた。
「就職が決まったぞ!」と電話の声はとても明るかった。
自宅開業のマッサージだけでは収入も限られ、何より日銭だけで何の保障もない将来に対する不安が常に力の頭をよぎっていた。

眞知子に線香をあげて仁賀保に戻った力は、老人ホームのあんまマッサージ師の募集に応募していた。

「生まれて初めてちゃんとしたところで働くようになれたぞ。土日祝日休みで社会保険もしっかりしていて労災もある。しばらく働けば有給休暇や盆・正月の休みもあるそうだ。夢みてぇだ!」
力が安堵し喜んでいた。

私は涙が出そうで声が潤んでしまった。
「そうか、そうか、よかったなぁ」
そして、その声でいつものようにため口をきいた。
「おめぇ、職員と喧嘩すんじゃねぇぞ!しっかり揉んでじいちゃん・ばあちゃんを楽にさせてやんだぞ!おめぇが普通にやってりゃボケてる人でもまともになるから頑張んだぞ!」

これまで『北の国から』で何度も登場し、私と同じように『秋田の力』のことを気にかけてくれてる読者がおられることを知っているから、定休日ではあるがすぐに報告したかった。

・自宅から盲導犬と歩いて15分くらいのところにその老人ホームはある。
・20畳ほどの自分の部屋があって、そこで治療するから職員とは滅多に顔を合わせなくて済むという。
・盲導犬セナは凝固剤入りの袋をつけて排尿便できるから、敷地での臭いを気にしなくても済む。
・すでに今月の4日から働いていて、昨日揉んでやったじいさんに「おめぇさん、誰だべ?」と言われたそうな。
・夜と土日にはこれまで通り自宅で、頼りにしてくれている患者さんのために働くそうだ。

そして、お昼にはこれまで苦労を共にしてきた奥さんが作ってくれたお弁当を食べているという。
よかったな、力。本当によかった。
 

さくら 2006年09月06日(水)

  札幌市内を走る中央バスの運転席の後ろにある液晶画面に、9月から3ヶ月間カフェのコマーシャル映像が流れている。はずだ。
1台あたり1日に10回程度の放映らしいから運が良くなければ滅多に見ることはできないが、200台程度のバスで放映されているのでトータルでは結構な回数である。
残念ながら、カフェの顧客層がバスの利用者とは思えないから大した宣伝効果は期待してないけれど、バス車内の方々がたまたま見かけたとき、心和むような写真があったので編集して掲載することにしたものである。

実は私たちもバスに乗ることはないので、もし見かけた方がおられれば是非感想をお聞かせ願いたい。

さて、今日は久しぶりにラブラドールさくらのレッスンを行った。
カフェには頻繁に遊びに来ているので日頃の様子や成長過程はつぶさに拝見し、飼い主のMさんには様々なアドバイスを行っていた。
1ヶ月に1回くらいの割で歩いて、大きな問題が潜んでいないかチェックしている。

まもなく9ヶ月目に入るが、これまでに与えたアドバイスと私が行ったレッスンの主なものは次の通り。

1.食事・トイレ・遊び・散歩のこと。
・食事回数は4回から始め、成長に応じて3回にし、今月辺りから2回にしているはずだ。
・食事を与えるときは両手でしっかり食器を押さえて、将来的にも人の手に警戒をさせないこと。
・トイレは失敗させないことを前提に根気よく頑張ってもらった。そして『シーシー・ベンベン』という言葉を繰り返しその意味を教え続けてもらった。
・興奮させ過ぎない遊び・乳歯で怪我をしない注意・それでいて犬が充分満足し心地よい疲れを覚えるようにしてもらった。
・散歩は小さい時から抱っこをして歩くことから始め、社会見学の一歩を踏み出し、カフェに来ていろんな人と触れ合った。
・成長し自分で歩ける時期になると、先住犬のももとは別々に散歩をしてさくらひとりで歩くようにしてもらった。

2.抱っこすること
小型犬なら将来を考え、依存的になり過ぎないよう抱っこしない習慣を勧めるが、ラブクラスの場合は抱っこするのが辛くなる時期までできるだけ抱っこしてもらった。
そういえば最近になってMさんがさくらを抱っこする姿を見かけなくなった。

3.室内での係留とケージに慣れさせること
・充分に遊んだ後は係留するかケージに入れる。
・リードで繋ぐと時々吠えてしまうことがあったが、これはカフェで『吠えてはいけない』ことを強く私が教えた。
・今では自分でケージに入って寝ているし、係留しても黙って座るか伏せている。そして家人がいる時にはフリーにしてもほとんど手がかからなくなっている。
たまにいたずらをするらしいが、既に聞きわけを身に着け始めているから制御も容易になっている。

4.制御を受け入れること
・カフェに来ると闇雲に他犬に飛び掛るから、怒られ冷たい視線を浴びてヒンシュクを買ううち、分をわきまえ“相手の立場というものがある”ことを学び始めている。
・ガーデンのゼオライトや草をまるでドッグフードのように食べるので、私から強烈な叱りを受け続け、その結果言葉による制御で身を慎むことを覚え始めた。

5.イエストレーニングによる歩行訓練
・仔犬の割には人の話を聞きながら歩けるようになった。
・歩行訓練が楽しみだから、周囲に大きく気をとられたりせず、初めて見聞きするものでも不安を示さない。

長くなってしまったし、酔いが回って思い出せなくなったから今夜はこれでおしまい。
明日は定休日。
アモも術後2ヶ月を過ぎたから、どこかへ出かけようと思っている。
 

いつの日かアンサンブル 2006年09月05日(火)

  今日の雨で札幌はすっかり秋の空気に変わり、夕方の散歩はとても心地よく、夜に入るとまもなく中秋を迎える名月の輝きがあった。

一日遅れで今夜誕生日プレゼントをKに贈った。
その昔ハモンドを教えたことがあるKだったけど、オルガンは大き過ぎて実家に置いたままになっている。
最近私がサックスを吹くようになって「一緒にやれたらいいなぁ」と言ってたのでYAMAHAのキーボードをプレゼントしたというわけだ。

長〜い時の流れの隙間を埋めるようにボリュームを下げた練習音が先ほどから心地よく響いている。
私がサックスを吹き始めると、何か用事でも思い出したかのようにそそくさと姿を消す我が家の愛犬アモも、Kの演奏にはうたた寝を続けている。
いつかアンサンブルができたらと思うとまた楽しみが増えた。

さて、先日来紹介している4ヶ月のラブラドール/ナナちゃんが、とうとう岩見沢からレッスンに通い始めた。
初日の月曜は生憎の雨模様だったけど、雨宿りをしながらしっかり歩かせてもらった。

まずは『普通のラブ』でひと安心。
まだ乳歯だから遊び方をひとつ間違えると皮膚に穴が開いて出血させられる危険はあるし、悪気はないのに大胆な『遊ぼう攻撃』で他犬からは白い眼で見られてはいるが、それは若さゆえの世間知らずで無謀で、知的だからこそ脳内の化学変化による爆発が起きているのだろうと思う。

私がレッスンに出かけている間、飼い主の奥さんとKとの会話
「いい人に拾われるよう、たらいに入れて川に流してやろうと思った」と奥さん
「楽しかったよ。ありがとう!って?」とK
「ううん、違う!辛かったよ、さようならって」と奥さん

奥さんがキレる前に、ここに辿りついてよかったね、ナナ。

いつの日かこんなことも楽しい思い出となり、家族そしてナナちゃんが楽しい生活のアンサンブルを響かせてくれることを祈っている。
 

複雑な思い 2006年09月04日(月)

  ご無沙汰でした。
インターネット関連の複雑な設定は今夜すべて解決いたしまして、これまで通り『思うがままに』アップできる環境が整いました。

パソコンのことでも愛犬のことでも任せるときには専門の人に任せてみるのが近道だということを改めて思い知りました。

釧路のIさん、失われた『北の国から』の原稿を送っていただきありがとう。
復元作業は地道に進めていきたいと思っているので、しばらく時間はかかるけど今後もご協力をお願いします。

メールで送信すれば済むようなことだけど、敢えてこの欄で『テストケース』のつもりでアップさせていただき、私とKの生活にインターネットが戻ったことを確認させていただいた。

ここ数日、インターネットが使えない不自由な生活を送り、悔しいし、おもはゆい生活だったことを告白しておこう。
まるでライフラインのひとつが遮断されてしまったような不自由さを感じてしまい、疎外感を味わった。

良かったことは時間を気にせずゆっくり過ごせたことで、これはありがたかった。
繋がっていればうっとうしいと思うこともあるけど、繋がらなければ大いに不便。メールやインターネットはそんな存在になっているようだ。

留守中の最新情報に今月のパスタの写真とコメントをアップしてくださったIさんありがとうございました。
 

北海道が美味しい季節だ 2006年08月31日(木)

  定休日にこの欄を書くことはないのだが、二日休んでいたし、8月も今日が最終日でHPのカフェメニューを更新しなければならなかったので、ついでに立ち寄ってみた。

ご愛顧いただいた夏メニューのラーメンサラダが姿を消し、カチャトーラだとかラタトゥーユという聞きなれないパスタを9月からのメニューに入れるそうだ。

先週受診した“すこやか健診”の結果を朝からふたりで病院に行って聞いてきたのだが、ふたりともそれなりに健康だと言われて安堵したKが、気分良くこのふたつのパスタを試作し、実際、美味しかったので「明日からこれにする!」と即座に決まってしまった。

午後からは、我が家の愛犬アモの術後の快復も順調に進んでいるので、3人でドライブを兼ねて食材となる野菜とハーブを求めて長沼方面に出かけた。
ゆにガーデンでKがハーブを選んでいる間、私とアモは久しぶりのノーリードの散策を楽しんだ。
アモは草の上でゴロンゴロンと背中を擦り付け、数ヶ月ぶりの開放感を味わっていた。

20個以上は入る大きな袋に活きのいいピーマンを詰め放題で200円の買い物をしたり、地元で育てたパプリカを4個100円で買ったり、トータルで数千円の買い物をしたKは満足そうだった。
明日からのカフェの食材になるらしい。

夕方、先週に引き続いて私たちは愛犬をまりちゃんに託し、『里塚の湯』に出かけた。
ここのロビーにも新鮮な野菜が廉価で販売されていた。
「野菜だけ買いに来てもいいのでしょうか?」とフロントに尋ねると
「そういう方もおられるようです」とちょっと迷惑そうだったが、『これは使えるかもしれない』と密かに思った。

明日から9月。
北海道の食材を使っているだけで、何もかも美味しくなってしまう季節が訪れる。
 

無謀の結果 2006年08月28日(月)

  先日のこの欄で、『仮にラブの仔を室内で放し飼いにして暮らせば誰でも真剣になる』というようなことを書いた。
・冬山に弁当ひとつ持って登るようなもの
・「トイレを貸して」と訪問販売にやってきた男を部屋に入れるようなもの
・これまで消費税を納付せずに済んでいたから、かろうじて経営できていたカフェに、納税しろと通知書を送ってくる税務署そのもの

つまり“無謀!”の代名詞のつもりで書いたものだった。

ところが今日、そのラブを生後40日前から現在の4ヶ月弱まで放し飼いにしているご夫婦が遠く岩見沢からカフェにやって来られた。
「前に飼っていたシーズーが14歳で亡くなりまして…あの子は来た日から何一つ手がかからず、本当にいい子でした」
そう話す奥さんの目は虚空を見つめているようだった。

ご主人の両腕にある無数の生傷を見た私が
「凄いことになっていますねぇ」というと、
「いえいえ、この足のほうが」とズボンの裾をたくし上げようとして奥さんにたしなめられていた。

『家の中はさらに凄いことになっているのだろうな』と想像していると
「いつまでこんな状態が続くのでしょうか?」と本当に思いつめたような声で奥さんが尋ねられた。

『思い込み』というのは恐ろしいものだと心から感じた。
このご夫婦は前のシーズーとの暮らし方が、『犬との暮らし方』であると思い込み、その方法から脱却できないでおられるようだ。
家猫のミーちゃんと野生のエルザは同じ方法では育てられないのに。

聞くと、夜もフリーの状態、つまりラブの仔を本当に24時間野放しにしているのである。
日中仕事に出かけるご主人はまだしも、いつも一緒に居なければならない奥さんが思いつめた表情になるのは当然であろう。

ガーデンでの仔犬の行動を見ると、やや控えめで普通より扱いやすそうなタイプだった。
リードで繋ぎ、行動に制約を与えると野太い声で吠え立てた。
「だめ、だめ」と飼い主はなだめるように言い聞かせており、「放して!私を自由にして!」と吠えるワンちゃんのほうが毅然としていて主張が伝わり、どうみても軍配は犬に上がっていた。

じゃあ、どうすればいいのか?

今日の午後カフェにやってきた近所のさくらも、今年になって仔犬から育て始めたラブラドールである。
「ようやく室内でフリーにできるようになりました」
笑顔でそう話してくれたMさんは、以前よりさらに逞しく、ちょっとだけ若返ったように見えた。

はじけた性格のさくらをどのように育てているのかは、おいおいとこの欄で紹介することにして、問題のワンちゃんはもし遠くからでも通ってくれるのなら、何とか適切なアドバイスとしつけが行えるだろう。
 

北海道マラソンを見ながらワープ 2006年08月27日(日)

  残暑お見舞い申し上げます。

8月最後の日曜となった今日も昨日に続いて暑い一日だった。
どういうわけかカフェには閑古鳥が鳴き、おかげで北海道マラソンのテレビ中継を緋梅(ヒメ)ちゃんご夫妻とゆっくり見ることができた。

何度も見慣れている道路もマラソン中継では、どの道を走ってるのかすぐには分からないことに驚き、たった今まで東区役所あたりを走っていたはずが、場所の特定で話し込んでいるうちに、気がつけば西区の新川を走っているのにビックリした。
仮に時速20キロで走っても、あんなに速く移動できるものだろうか?
『ワープしたとしか思えない』というのが正直な感想で選手たちのすごさに改めて感じ入った。

5年前までの今日なら決して経験することのできなかったのんびりした8月最後の日曜日だ。

何故なら、盲導犬協会では昨日からユーザー研修会が開かれ、2日目の今日は個々のユーザーと盲導犬の歩行チェックが行われ、様々なアドバイスをするため以前の私も朝7時から午後まで絶えず歩いていたからである。
『どうぶつ奇想天外』という番組で何度も紹介されたミッキーという盲導犬の歩行チェックも私が行い、ユーザーのMさんには引退の最終勧告を行うという辛い経験もしてきたが、今となって一番の記憶に残っているのは、1年ぶりに再会したユーザーたちと前夜から飲み・語らい・テラスでみんなで歌ったことなどで、二日酔いの残る日曜日は朝からビタミン剤をほおばって歩きぬいたことである。

マラソンの選手には到底及ばないが、あの頃の私も結構頑張っていたと思う。
人生の後半にちょっとくらいご褒美があってもいいと感謝しているけど、それを維持するのも結構大変なことでもある。
 

葛藤?優柔不断? 2006年08月25日(金)

  陽射しは強かったけど北海道らしい爽やかな一日だった。

定休日の昨日はお泊り犬もなく、我が家の愛犬アモと居候犬ウィンピーを娘のまりちゃんに託し、私たちは札幌市が実施している『すこやか検診』という高齢者向けの健康診断を受けてきた。
血液検査など何年ぶりのことか忘れてしまったが、今更病気が見つかっても困ってしまう私は、自分のことよりKに検査を受けさせたくて「一緒に行くなら…」という条件でふたりで出かけた。

「注射したあと温泉に入っていいのかな?」と私。
「身体のどこかに小さな傷なんていくらでもあるから、別にいいんじゃない」とK。
というわけで、私たちは久しぶりの里塚の湯に向かい、私は浴内ヨガを入念に行って、さらにマッサージを受けたあとリクライニングシートで横になった。
そして1時間半ぐっすり眠った。
本当に久しぶりな至極の時間だった。

そんな昨日の今日だから「日本犬ミックス2歳の犬です。20回の訓練を受けたんですけど、息子や主人にも唸って威嚇し噛み付くこともあるんです。柴犬光ちゃんのお母さんから『光もとんでもない犬だったけどここで治してもらった』って聞いてきました」という相談があっても、訓練を引き受けることはできなかった。

「すごいエネルギーが要るんですよね…咬む犬の場合」
そんな風に言葉を濁した。
息子やご主人あるいは来客が咬まれるかもしれないのに室内でフリーにしている感覚も信じられなかったし、その指摘に対して「じゃ、ハウスにでも入れろと?」という問題児である愛犬の権利を代弁しようという歪んだ優しさにチクッときていた。

勿論心の底では申し訳ない思いで一杯だったし、何とかしてあげたいと自分の気持ちに高ぶりが出てくるのを待ってもいた。
幸いにもというのかしかしというのか、雑用をこなしているうちにその女性は帰られたようで複雑な思いが残った。

すこやか検診の結果は今日の午後には出ているらしいけど、聞きに行くのは来週の定休日まで先延ばしにしておこうと思う。

「嫌なことは先延ばしでいいじゃんね」ってKに言ったら「うん。でもその人『頑張ってまた来る』って言ってたよ」

爽やかな夜だがうまく寝付けるだろうか…。
 

眞知子に届け! 2006年08月23日(水)

  秋田の力はやっぱりひと騒動起こして帰って行った。

宿直のIさんが朝食の準備ができたことを伝えようと、力の部屋に行くとそこには誰もいない。
普通、宿泊していた視覚障害者がいなくなると、夜のうちに館内のどこかに迷い込んで帰れなくなってしまってるんじゃないか?とか、階段から転落して倒れてしまったのか!などと万一のことを心配するのが受け入れ側の気持ちである。

その頃、行方不明の力は朝の5時半から起きだして、盲導犬と札幌の町を散策していた。
音声時計から聞こえる時間で、「そろそろ戻らないと心配してるかもな」と、考え始めていた。
ふと、人の気配がするので、力は声をかけた。
「おう、ここどこらへんだ?」
「○○交番の前ですが」
「おめぇ、警官か?」
「そうですが、お宅はどちらから?」
「秋田県仁賀保町だ」
「えっ!?大丈夫ですか?」
「おう。ちょうどよかった。せば、ちょっと、協会さ電話してけれ」
「キョウカイってどこの?」
「盲導犬協会に決まってるべ!おれが教会の神父に見えっか?」
「で、なんと?」
「もうすぐ帰るからって言えば分かる。じゃあな」

現場に居た訳ではないし、秋田の浜訛りの力と警察官の間に適切なコミュニケーションが取れていたとはとても思わないが、ともあれ力は協会に戻った。

「おう、ただいま!心配したべ?」
「別に」
「警察から電話入らんかったか?」
「ああ、さっき交番から入ってた」
「それだけか?」
「それだけだ」

盲導犬協会のベテラン訓練士であるIさんだから、力の行動は織り込み済みだったのだろうが、場合によっては捜索願が出ていたかも知れぬ。

「眞知子の家まで行ってきた。送る約束してたもろこし届けてきた。」
「そうか、よかったな」
秋田に戻った力からの電話で、滞在中の様子が分かったが、いつもより力がなかったのは帰りの急行はまなすが混み合っていたからだけではなさそうだ。
 

ももじ 2006年08月22日(火)

  Mダックスももじ君のレッスン依頼があったのは2ヶ月くらい前だったろうか。
日中留守番をさせておくと、室内を破壊してしまうということで困っているらしい。
私たちが行きつけの里塚温泉(新装して里塚の湯に名称変更している)の岩盤浴で寝転んでそんな話をしていたら、私の店を紹介されたというから、何かの縁があったのかもしれない。

最初の相談で私は唖然とさせられることがあった。
この家庭は、日中は働きに出ているまではよくあることなのだが、その間しつけもできておらず信頼もできないももじを室内で放し飼いにしているというのだ。

小型犬を飼っている方の中には
「そんなのうちもだよ。唖然とするなんて仰々しい」と言われる方もおられるだろう。
あなた方は甘い!
私はそういわざるを得ない。
まだ信頼できない犬に、トイレの失敗やいたずらできる環境を無条件に与えておいて外出するというのは、しつけを遅らせて問題行動を醸成するだけではなく、愛犬の命を危険にさらすことにもなる。
あなたのもとで愛犬が健康で生きているとしたらそれは大変な幸運によってもたらされているといえよう。

まだ『仰々しい』とお考えの方は、一度同じ方法でラブを飼ってみるとよい。
犬育てが、どれだけ人間を真剣な気持ちにさせてくれるかがわかるだろう。

さて、ももじ。
最近は大きな問題を引き起こさず、歩き方もよくなっているし、社会性も身についてきている。
でも今日のレッスン中、ゲボッ・ゲボッと何度か嘔吐して、最後に吐いたものをよく見ると『食べてはいけません』と書かれたシリカゲルの袋が出てきた。
「食べてはいけないと書いてあるだろう!」と苦笑いしながらつぶやいたが、まだ命の綱渡りのような放し飼いを飼い主の方はされているようだ。

手遅れにならないうちに、飼い主を真剣にさせるアクシデントが起こるか、このまま幸運が続きレッスンと年を重ねることでももじが良き家庭犬になることを願うしかない。

この欄をアップして数時間後、Kが誤りに気づいたので修正しておく。
ももじの飼い主はカフェのことを『里塚の湯』で聞いたのではないとのことだ。
どこか北の別の岩盤浴で、たまたま隣に居合わせた犬の飼い主と話しているうち、
「私の犬は他犬に吠え掛かる犬だったのに、ドッグカフェナガサキに行って、オーナーにちょこちょこといじってもらったら、それ以来吠えなくなった」という話を聞いたからやって来たと、私がレッスンしている間にKは聞いていたというのだ。
ちょっと自慢?だから付け加えてみた。
 


- Web Diary ver 1.26 -