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佐呂間町で竜巻が発生し現在までに9人の方が亡くなられている。 ご冥福をお祈りしたい。
佐呂間町には正法寺という寺があって、そこで私の恩人であり元上司でもあるKさんが住職をしている。
1975年の夏。まだ学生だった私は札幌盲導犬協会(現北海道盲導犬協会)に奈良から出向き、ほぼ強引に住み込んで40日ほど仕事の手伝いをさせてもらったのだが、その当時の事務局長がKさんだった。 夕方に到着するとそのまま麻雀が始まり、その中で互いの人と成りについて知り合うことができた。
当時の協会は古いプレハブの犬舎と訓練棟それに雨漏りのする本棟からなっていて見るからに貧しかったし現実に資金難で、Kさんは毎日のようにお金集めに奔走していた。と書くとなんだか悲壮な仕事ぶりに感じられるが、実際のKさんは人間味のある面白可笑しい人であった。 役所の担当者への陳情や協会役員に資金繰りのお願いなどでは、平身低頭で愛想笑いを交えて交渉を成立させてくるのだが、戻るや否や「バーヤロウ、あいつら何にも分かっちゃいないのに偉そうにしやがって」と鬱憤を晴らしていた。
車でススキノに飲みに行くこともあったが、どこに車を停めたか分からなくなるまで飲むから飲酒運転の心配はいらなかった。 翌朝、その車を探しに行くというのどかな時代だった。
2年後、再び私が強引に就職しにきたときも役員に頭を下げて雇い入れるようお願いして回ってくれた恩人である。 職員やボランティアそれに視覚障害者への思い入れは人一倍強く、人々からの信望も厚かったから現在住職をされているのも頷けるし、今でも町内に住む盲導犬ユーザーとは家族ぐるみの付き合いをされている。
どこをどう走ってくるのか知らないけれど、法事で札幌に来るときには信じられないような短時間でやってくる暴走坊主だったが、あれから10年近く経っているから今ではそんなことはないのだろう。
佐呂間の飲み屋でいつかまたゆっくり話ができたらと思う。
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