From the North Country

冷たい雨の日に 2004年10月23日(土)

  二日酔いなのか風邪の初期症状なのか、カフェを閉店したあたりからスッキリしない体調だ。
一応は風邪を疑い、濃厚な消毒と体内を燃焼させる処置を施している。
朝から寒く、冷たい雨と強い風が吹いていた。

「せっかくの土曜日なのに今日は開店休業か」などと思っていたら、開店直後から数組がご来店され、昼前頃からは大変賑わうようになった。

数ヶ月前に初めて来店したMダックスのロンとジュリアは、激しく吠え立て他犬を威嚇、時には噛み付きそうな勇ましさがあった。最近では、時折虚勢を張ることもあるが、かなりの自制心と他犬への友好的た好奇心が育まれ、その可愛くつややかな身体で、私たちを和ませてくれる。

8匹のチワワ軍団の中では、えくぼとあかねの威勢がよい。えくぼは力強く吠え、お母さんの下では勇気百倍のようだが、近頃は「どうやらそれはいけないこと」というのを感じてくれており、時間はかかるだろうが心開いてくれるようになるだろう。
あかねは大型犬の足にしっかり噛み付いていた。
こちらもお母さんから引き離すと、勇気を喪失し固まってしまう。私が抱き上げようとしたら、身体をうまくくねらせながら、何とか噛み付こうとする。噛まれない練習にはもってこいで、5分ほど奮闘してようやく抱き上げることが出来た。途端に大人しくなったが、身体のいろんな部分を刺激すると、ピクンピクンと過敏に反応する。
たぶん、小さい時から『掻いてやる』という魔法のスキンシップがなかったのだろう。
『掻く』という何気ない動作が犬たちの情緒を安定させる魔法のような力があることを改めて訴えたい。

初めて登場のアイリッシュセター・フラットコーティッドレトリーバーそれにラブちゃん2頭は、有り余るエネルギーをガーデンで発散し、泥んこになった後、カフェ内で静かにお店とその雰囲気を観察していてくれた。

ジャックラッセルのうらんも凶暴な?声を出しながら、大好きなボール投げをお母さんと楽しんでいたが、シャンプーをし終えたばかりのトリマーノンちゃんにはため息だったろうか?
常連の方々の愛犬たちが加わり、楽しそうな会話がカフェの時間を埋めていった。
この幸せな時がいつまでも続いて欲しいと願う。
 

小春日和のカフェ 2004年10月20日(水)

  台風の影響による南風のためか、はたまたアルコールの燃焼によるものか分からないが、室内では上半身裸になってちょうどよい今夜の札幌である。
明日の最高気温が17度の予想なので、ひょっとしたら今年最後になるかもしれない暖気の一日だった。

ガーデンでは世界最小ではないかと思われるほど小さな子を含め、チワワだけで5匹、Mダックスもその程度、その他にトイプードル・シーズー・ボロニーズ・チベタンテリア・ミニチュアピンシャー・ラブラドール・ハスキーなどがまったりとした時間を飼主の方々と過ごしていた。

思えばその中には、初めての来店当時にはワンワンワンワンと吠えつづけていた子も多い。
カフェは住宅街にあるため、ガーデンと言えども郊外にあるドッグランのように吠え続けることを容認するわけにはいかない。
ちょうど、飼主の方も吠えることで困っている方がほとんどだったので、その制御のテクニックをお教えするとすぐに犬たちは静かになってくれた。

カフェ内に入ってもBGMが静かに流れるなか、当たり前のことだが、犬たちの騒音に悩ませることなくお話をすることが出来る。

「今日で二度目の来店です。前回の方法を自宅で試したらすっかりおりこうさんになってくれました。」
「お客さんがそう話してくれたよ」と私がスタッフに言うと
「1回で直してどうする!しかも無料のカフェ会話の中で!もう少し引き伸ばせ!」と冗談めかした言葉が返ってきた。
『まあ、たまにはこんな大当たりもあるさ』と私は満更ではなかった。

明日は定休日、明後日は所用(飲み会)でこの欄はお休みです。
 

叱るということ 2004年10月19日(火)

  「叱って直るんだったら、もうとっくに直っているとは思いませんか?」
これが最近の私の口癖になっている。

叱ることを否定しているのではなく、時に必要なのだが、本当に叱ることはとても難しく、慣れていない方には的確に犬を叱ることなど出来ないのではないかと思っている。
殆どの方は、口先だけで叱るし、たまに厳しく叱る方もいるが、その叱り方とて犬を叱られることに慣らしているに過ぎない場合が多い。

叱り方をこの欄で説明するつもりはない。
「試しにやって見よう」などと思われたら、私はスポイルされた犬たちから一生恨まれるし、それは勿論望むことでもないからだ。

普通の方には叱って直すことが出来ないから、『我に返す』方法をこれまで何度も書いてきたのだが、いずれにせよどちらもネガティブだしそれで完結するものではない。

楽しいことを始めていると、人と犬が一体になって過ごす時間がある。そんな時、犬が思いがけない利口な動作を取ると、人は喜び歓喜の声を上げる。すると犬はまたその動作を繰り返し、さらに楽しい動作を見せたりもする。
いわゆる好循環であり、このようなことの繰り返しで人と犬は好い関係を築いている。
そんな時、仮に犬が「ワン!」と吠えたとしよう。
利口な飼主なら、すかさずゲームを中断し犬を『叱る』だろう。このときの叱り方は素人でも出来る強さで犬は充分反応し、繰り返す中で吠えてはいけないことを理解するものだ。ポジティブな叱りといえるかもしれない。
ところが多くの飼主は、このしつけのポイントに気付かず、「ワン」という声に犬が喜んでいると『受け入れて』しまい、後になって「家の子は要求したり興奮してすぐ吠える」と嘆くのだ。自分がそうさせていたことを忘れ、吠えるたびに無意味なネガティブな叱り方を繰り返している。

1年も叱っているのに止めないことがあるなら、もう叱るのは止めませんか?
周りの人間も自分も不愉快な気持ちになるだけですから。
きっと他の方法があるはずですよ。
 

今夜は思いっきりPR 2004年10月18日(月)

  気分転換・静養・家族水入らずの時間を兼ねて、パートナーKが登別温泉に出掛け、私は寂しい時間を愛犬スー・お泊り犬チョコ(ヨーキー)・同じくクー(マルチーズ)に相手をしてもらいながら過ごしている。

さっきまで大学の後輩のO氏が、出張で札幌に来たついでにと家に立ち寄ってくれていた。学生時代は彼の下宿が私の定宿でもあり、お金がなくなると家に帰るという生活を送っていたから家族(寄生虫?)のようなものだ。

彼も私と同じように長年務めた職場を後にし、自力で幾つかの仕事を始めている。50を前に大学院を卒業し、仕事の発想や経営手腕において私の師匠でもある。

その彼が、私の話とカフェを見聞し『本当は儲かるのにもったいない』という顔をする。
『まず、長崎さんは自分を安売りしすぎる。何処の世界にお泊り犬をこんな風に自分の居間に放し飼いにして、トップレベルの技術者が愛犬教育を5000円でしてくれる人がいますか?東京や大阪なら…』

確かにお泊り犬は楽しい生活を送っているし、生活する上で必要なしつけは私たちが困らない程度には教えている。
コーヒー1杯を420円で飲んで、入店料と併せ620円でおりこうさんになって帰っていくワンちゃんも多い。
レッスンは私の足の状態と気分さえよければ引き受け、キャリアを活かし、昨夜のこの欄でも紹介した三者三様の考えに基づいて誠実に行っている。

『それでこの収入はないでしょう!』というO氏の顔。
「ふぅーむ」
パートの給料・仕入先の支払・経費を差し引くと、「利益が上がってもいい仕事をしているはずなのに」と唸る。

そこで師匠の意見を参考に分析してみた。
1.カフェのサービスは他店にない差別化を図れる優れものである。
2.しかし飲食の売上はたいしたものではなく、カフェだけの単発的な利用者を増やしても、忙しいだけで利益の向上には繋がらない。
3.推奨できる物品やドッグフードを扱っているのだから、そちらの顧客層を増やし、トリミングも利用してもらうべきである。
4.レッスン・お泊りは現在の倍以上の料金でもよい。
5.私は働かず、弟子のような信頼できる人を育て増やしたほうがよい。
ということになるらしい。

カフェは個人事業で経営している。
儲けなければならないけれど、この年で頑張りたくはないし体も万全ではない。出来れば楽しみながら稼げればありがたいから、私は上記3をとりあえずは目指し、それでダメならカフェは閉鎖し、4を中心にしたコンサルティングを視野に入れるのもありだろう。
さてさて、どんな展開になるか私自身も楽しみにしている。

『人間、滅多なことでは死にはしない』
気楽にやりましょう。同輩諸氏。
Kを温泉に送った留守番隊の『今夜の一言』でした。
 

日本シリーズの歴史的抗議からその2 2004年10月17日(日)

  昨夜の続き

『家族の姿が見えなくなるとパニックになり吠えるなどの行動が尋常ではない』

1.飼主
このような問題行動がある場合、飼主の育て方というか対応に問題があったことは否めない。
しかし、問われるのはそのようなことではなく
@本当に治したいと思っているのか
A叱る人かそうでない人か
B変化に対応できるかどうかであろう。

2.愛犬
犬に問題行動が見られる場合は、以下の順にチェックする。
@医学的に問題はないか
A遺伝的な気質に問題はないか
B環境に問題はないか
C過去の特殊体験など、問題行動を誘発した原因に心当たりはないか
そのうえで犬の評価を行い問題行動を探る。

3.私(例えば訓練士など)
飼主と愛犬の関係を良くする為に、言って聞かせ、やって見せて、やらせてみるのが仕事。時には妥協点を探り限界を話す事もある。
@飼主と愛犬の信頼を得られるか
A飼主と愛犬を分析できるか
B飼主と愛犬に対応するツールをどれだけもっているか、あるいは創造できるかなどである。

冒頭の問題行動への対応も三者三様の立場があり、答えは決して一つではない。
1.厳しく叱れば治るのか?
@叱らないあるいは叱れない飼主だったらどうなる
A逆切れしやすい愛犬だったらどうなる
Bそして厳しい訓練士だったら結果はどうなるだろう

2.無視すればよい?
@近所からの苦情が切迫していたらどうする
A飛びつきや噛み付くなどの行動がでても無視するのか
B1ヶ月無視しましょう、で納得できる解決になるのか

飼主を知り、愛犬を知り、自分の能力を動員することが重要であるのだが、盲導犬の適性評価のように最低2週間もかけてはいられない。
だから、昨夜の日本シリーズのようなミスジャッジが我々の世界にも起こり得るから面白いと思う。

この問題に対する私の根底にある考え方は、どうすれば飼主も愛犬も私も『我に帰って平常心で対応できるだろうか?』ということである。
 

日本シリーズの歴史的抗議から 2004年10月16日(土)

  プロ野球日本シリーズの49分に及ぶ試合中断を野次馬根性で見ているうちに酒にもゲームにもすっかり酔ってしまった。
両チーム監督と審判団の三者三様の立場があり、その攻防には見ごたえがあった。
中日落合監督は冷静に理路整然と抗議をし、すんなり審判のジャッジミスを認めさせた。
一方の西武伊東監督はミスジャッジもジャッジの内だと食い下がっていたのだろう。
審判団はといえばゲームをコントロールするために威厳を保たなければという考えが根底にあることは否めない。しかしジャッジミスを理解し認めた以上、再びジャッジを翻すことはできず、伊東監督の立場も考え審判団のミスであったことを公式に認め謝罪したうえで試合再開にこぎつけた。

何故このことに興味を持ったかというと、カフェに寄せられる愛犬相談とどこか共通するものを感じていたからである。
飼主がいて愛犬がいて私がいる。
三者の立場や性格があり、それに焦点となる問題行動の内容がある。
例えば、家族の姿が見えなくなるとパニックになり吠えるなどの行動が尋常ではない、という問題行動があったとしよう。
犬の気質や育て方の問題あるいは家族の対応や過去に遡る特殊体験などどこかに原因はあるのだろうが、「だから仕方ない」で済ませる問題でもない。現に困り果てて相談に来られているわけである。
そこで、「どうすれば解決できるか?」という前提で飼主と愛犬をジャッジすることになる。
1.飼主
このような問題行動がある場合、飼主の育て方というか対応に問題があったことは否めない。

失礼、酔いが回って正気を保つ限界が近い。このつづきは・・・
 

吠える犬もいる 2004年10月15日(金)

  カフェに来店されたワンちゃんが、人や他犬を見て吠えることがある。
取り立ててとんでもないことではないし、当たり前のことでもないし、放置しておけることでもないと思う。
「じゃあ、一体何なんだ?どうすればいいの?」

1.吠えるのはとんでもないことではない
@ワンちゃんによっては、吠えることがあっても何ら不思議ではなく、その声の発し方でワンちゃんの性格やそのときの心境がわかる場合が多い。
A最初の一声二声は警戒心で吠えているが、その後は身の程を知らずいい気になって強がって吠えてることが多いから、これは止めさせることが出来る。
B吠えやすいワンちゃんをトレーニングしている過程であり、まだ大目に見なければならない段階かもしれない。

2.吠えるのは当たり前のことでもない
@友好的で吠えることのないワンちゃんはたくさんいるし、吠えてはいけないことを教えられたワンちゃんや、吠える必要性がないことを学習したワンちゃんもいる。
A犬は吠えて当たり前で、本能だから認めるべきと考えている方は、人間社会での生活を捨て犬社会で暮らしたほうがよい。
B「吠えるのは直らない」と思い込んでいませんか?「ダメ!」と叱って、その後半分以上あきらめていませんか?

3.吠えるのは放置しておけることでもない
@他人の迷惑を顧みず、吠えている愛犬を前にして平然と話に夢中になったり、何ら制御もしない飼主にならないよう自分を戒めよう。
A制御しようと思うあまり「ダメ!いけない!ノー!」と叱ってる皆さん!もしその方法が正しければ、とっくに吠えるのを止めていると思いませんか?あなたの声は「頑張れ!ひるむな!私がついている!」と犬には聞こえているのです。試しに黙って愛犬を他人に渡して、見えなくなってご覧んなさい。愛犬は吠える勇気を貰えずにあなたを捜し求めるでしょう。頑張る気持ちは充分人間にはわかるけれど、口先だけではダメなのです。
B愛犬の気持ちや言い分を考えてあげるのは楽しいことだが、『吠えること・引っ張ること・家族が困るいたずらをすること・家族に逆切れして噛むこと』など絶対にしてはいけないことを、犬にわかる方法で伝えよう。犬社会は決して民主的ではなく、宇宙語で語りかけても理解できないあなたと同じ社会にいるのですよ。犬に理解できるようにするためには、まず愛犬を上ずった状態からいつもの冷静な状態に戻し、こちらの意思を受け入れることができる『いつもの表情』をしたわんこに導くことが基本なのだ。

言葉で容易に伝えきれないもどかしさが私に残り、何を言いたいのか理解できないもどかしさが読者に残る。
私も読者も犬もすぐには理解できないのだ。
だからまずは愛することから始めよう。
愛し方が分からないから、また吠える犬が生まれてくるのであろうが、愛されていない犬の吠えを止めさせることは出来ない。少なくとも犬を愛し、なお、苦悩している方々と共によりよい接点が見つけられればすばらしいと思う。
 

北海道盲導犬ユーザーの会 2004年10月13日(水)

  いよいよパソコンの文字も見えなくなってきた。
老眼が進み『離せば分かる』年頃から、そろそろ眼鏡が必要な世代に入ってしまうようだ。
手元にはダイソーの百円眼鏡しかないのだが、実は左右の視力が違うために、それを使うと疲れてしまう。左がプラス1.5右がプラス1という眼鏡を販売してくれるとありがたいが、当面は2種類の眼鏡を買ってレンズを入れ替えてみようと思っている。

「目明きは不便だな」
盲導犬ユーザーにも時々言われるが、車のキーが見当たらない時や暗くなって帰宅した際にはたまにそう思うこともある。
見えなければ何処に何がある(置く)かわかるように習慣付けるし、暗い部屋でももっとスマートに移動できるだろう。
だが、アルチューハイマーで物忘れがひどくなってきた私から視力を取り上げると身動きも出来ない状況になるだろうから、見えることはありがたい。などと書いていたらふと気付くことがある。
少なくとも盲導犬を使用する視覚障害者は高齢であってもボケてない。中には若いのに天然ボケ(先天ボー?)もいるが、それは生活に潤いをもたらすボケだ。
恐らく何処かの研究でも明らかにされているとは思うが、ボケるどころか視覚障害者の頭は澄み渡っているようにさえ思えることがある。
見えないということが脳にそのような刺激を与えているのかもしれない。

秋田からSさんがやってきたのは、北海道盲導犬ユーザーの会30周年記念式典に参加するためだった。
この会は北海道の協会を卒業したユーザーが自主的に運営する組織で、10年前の20周年の時には旭川から札幌までの140キロを盲導犬と共にたすきリレーで歩き、『ありがとう盲導犬』というユーザー体験談の本まで出版している行動的な団体である。
30周年の今年も素敵なことをやってくれた。
映画『盲導犬クイール』で主役を演じた、『安全地帯』の玉置浩二が作曲した「ひかり」という曲をこれから数ヶ月後に耳にすることがあるかもしれない。
実はこのバラードは北海道盲導犬ユーザーの会のために作られた曲で、『どうぶつ奇想天外』で12月に流される予定だ。
というのも、この番組のKディレクターとの長いかかわりがあるのだが、その話はまたいずれ。

脈絡のない話になってしまったが、ワールドカップ1次予選の対オマーン戦が『ライブ』で始まったので今夜はおしまい。
 

Sさんとの再会 2004年10月12日(火)

  夕べは久々?に飲んだくれて、とっとと爆睡してしまった。
数年ぶりに気の置けない友人Sが秋田から訪ねてきてくれたからである。おまけに人妻M家族と私の体を20数年管理して頂いてるS会長夫妻が加われば、宴は常にハイテンションで進行する。ビールは旨いし極上タラバに手作り料理が思い出話をとことん盛り上げてくれた。

Sさんとはもう10年来の付き合いだ。
市の職員だった彼が失明し配置転換で現職についた頃、盲導犬の訓練で4週間を共にし、秋田での現地指導を私が担当したのが深入りのきっかけとなった。

職場の上司は犬が苦手なのに、盲導犬を置く場所はどう見てもその上司の机の横しかない。市の職員たるものがそれを拒むわけにもいかないジレンマが彼の表情に切実に表れていて、私は誠実に対応しながらも可笑しかったのを覚えている。
気を使うSさんと気をもむ上司を見ながら、冬のフォローの頃にはどんな関係が出来ているか楽しみでもあった。

通勤にはバスを使った。
面影橋という哀愁溢れるバス停が私の記憶に残っているが、車内では人々がとても暖かく迎え入れてくれたのが特に印象的であった。
20数年前、S会長が札幌で盲導犬を使って通勤を始めた当初は、事前に乗車する時刻をバス会社に伝えなければならなかったし、おまけにそのバスには盲導犬を監視する職員までが同乗していたのであるから隔世の感があった。

Sさんの職場は秋田市の八橋球場の近くにあり、通勤途中にはテニスコートがあった。
そこで私たちは驚くべき状況に困惑してしまった。Sさんの盲導犬がテニスボールに対してパピー時代の遊びを彷彿させたのだろうか、狂ったように興味を示し、盲導犬としての仕事を放棄してしまうほどだったのだ。
厳しいコントロールを用いたり、予めテニスコート付近でボールを咥えさせたりするなどの奇術を試行しているうちにこの問題は解決していった。

「毎晩、一升瓶がなくなるなんて凄いね」
夜の反省会をいいことに私が飲んでいたそうである。
Sさんの奥さんが楽しそうに話していたということを、昨夜初めて聞いた。
私は品行方正な指導員ではなかったが、魂と魂がぶつかり合える人間であったと今でも思っているし、そういう生き方しか出来ない人間でもある。
だから、「アホ!」と思う奴もいるし、遠くから会いに来てくれる友もいる。

今夜もまた飲み過ぎてしまったようだから続きはまた明日。
 

マイクの相談メールから 2004年10月10日(日)

  今夜も相談メールから

〔内容要約〕
1.家には5歳になる娘がいて、その子とマイク(7ヶ月のMダックス)は今の所大きな問題も無く過せている。
2.娘の友達は犬と接した事の無い子供達が多く家に遊びに来てもらう時マイクとどう接したら良いのか悩んでいる。
3.ケージの中に入れていても姿が見えると泣いてしまう子供もいるので、可哀想だと思いながらもお風呂場でケージごと待っていてもらったのですが、ずっと吠えつづけていた。
4.マイクもみんなの中に入って遊びたいので子供達の姿を見る度に吠えている。
5.あるHPで相談した所、「ハウス」の練習を…と言われたが、留守番、夜寝る時などは泣く事もなくできているのでどのような方法で「ハウス」をさせたらいいのか悩んでいる。

〔私の考え〕
私のHPにも掲示板を備えていれば、読者の方々の考えも伺えるのだが、管理が正直面倒なので独断でのアドバイスとさせていただく。

大型犬の7ヶ月の仔犬なら5歳の子供相手にも忍耐強く寛大に接してくれる場合もあるが、Mダックスと5歳の子供仲間では、犬は飛びつき遊び噛みをするし吠え立てることもあるだろう。子供たちはキャッキャキャッキャと騒ぎ立てたり、都合のいい時だけからかったりと、結局はどちらも理不尽な接し方をする場合が多い。
だから、どちらも管理下に置く必要がある。

マイクにはリードをつけOさん(飼主)が制御し、子供たちの遊ぶ部屋で子供の様子を見ながら、マイクと遊ぶなりご褒美を使ったしつけ遊びなどをするとよい。
もし、Oさんが「自分は他に仕事もあるし、子供も犬も勝手に上手く遊んでくれなければ困る」というのであれば、他人の子供を家に招き入れることを止めるか、保険に入っておくべきだろう。

マイクの姿を見るだけで泣き出してしまう子には、相手の親に変わってOさんがしつけるしかない。
「あんたねぇ、世の中そう自分の思うようにはいかないんだよ!見たくないものがあるからと言って、泣き出せば解決できるとでも思ってるの?!しっかりしなさい!」
感情的にはこのように怒鳴ってやりたいのだが、そうもいかないだろう。Oさんがマイクをきちんと制御し、楽しそうにしつけ遊びなどをしていると、泣く子も黙って興味を示し始めるようになるはずだ。
リードは着けたまま、子供たちとマイクの反応を伺いながら、緩めたり伸ばしたりしながら結果的に安全に遊びの仲間入りができるように工夫してみては如何だろう。
経験からしか犬も子供も学習しない。
結果的に楽しくなるようにマネージメントすることで、子供も犬も成長していくはずだから、それをOさんの喜びに変えることも出来ると思う。

マイクを制御する方法にリードショックの技術が必要だが、それは以前から何度も書いているので、それを用いるとよい。

ある程度マイクが疲れてきたら、『ハウス』に入れるのも良い。与えるべき楽しい時間を与えたのだから、ちょっとの間ハウスに入っていることを認めさせることも必要だ。
お風呂場に一人で監禁されるよりはずっと理にかなっているし、何よりOさんの『言い分』ができあがり、「マイク!一杯遊んだでしょ!ちょっとはお母さんも休ませて!うるさく言うとお風呂だよ!」とスッキリ怒鳴ることが出来るだろう。

こんなにうまくいく筈がないことは分かっている。
でも、子育ても愛犬教育も愛情と誠意それに厳しさをもったうえでの試行錯誤であり、結果よりも『何をし、何をしなかったか』が後に問われることだと思う。
Oさん!子供たちにもマイクにも、どちらのためにもなる方法がきっと見つかるはずだ。
片方を隅に追いやってはいけない。
 


- Web Diary ver 1.26 -