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雪祭りが閉幕を迎えた今日も、札幌は寒い一日だった。 曇っている時の空気の冷たさは身を切るように感じられたが、晴れ間に差し込む陽光は何かじりじりする暖かさを放ち、私は早くも今年の夏に不安を感じてしまった。
賑わいを見せたカフェが落ち着き始めた夕方、低学年の子供さん二人を含む4人家族とMダックスのシェリーちゃんが訪ねてくれた。 入店直後カフェにゴロゴロいる大型犬を見た途端、奥さんの体はすくみ「私…ダメなんです」と一言。 ただ、そこには「イヤーン、怖い!」という甘ったるい雰囲気はなく、どちらかと言えばそれでも『意を決した』空気があった。 ヘビが嫌いで怖くてどうしようもない私にはその時の奥さんの気持ちが確かに伝わった。
「何か問題を抱えていそうだな」と思いつつ、ガーデンに放されたシェリーちゃんを見ていると、案の定「相談したいことがあるそうです」とKが知らせてくれた。
奥さんから手短に相談内容を伺った後も、ご主人と娘さんがシェリーと遊ぶガーデンに目をやり、しばらくその様子を観察していた。 そして次第に「何とかなりそうだ」と思えるようになっていた。
1.子供を学校に送って帰ってきたら、留守番の腹いせと思えるようにウンチを辺り一面に擦りつけている。 2.来客の際、帰るまで吠え続けている。 というのが主訴だったが、このような犬の場合、引っ張り・興奮・わがまま・いたずら等が当然セットになっていることだろう。
しかし観察していると 1.他犬の中で緊張しているが、無謀に吠えついたりせず飼主を楯にするように、さりげなく逃げ回っている。 つまり、積極的な攻撃性はなく、パニックになって我を忘れる狭量さがないことがわかる。 2.ご主人がガーデンを移動すると尾を振ってついてまわる。 つまり、不安に対していつまでも尾を引くことなく、本来は明るい性格をした犬で、家族も優しく接していることがわかる。 3.小さな娘さんはシェリーが嫌がっているにも関わらず追いまわし抱きかかえているが、シェリーはお父さんを目で追っている。 つまり、まだ生後7ヶ月の犬なのに家族を信頼し、寛大さを持ち合わせている。 4.家族に抱かれた時、他人が手を出すと噛もうとした。 家族のもとでは強気になるのか、あるいは逃げ場のない状況では防御的攻撃性があるのか今後見極めなければならない。
私なら、どんなに困っていてもヘビがうごめいている場所には行けない。 でも奥さんは勇気を出してカフェに足を運んでくれた。 次週、レッスンを行うことにしたが何とかその気持ちに応えられればと願っている。 そして、暑さが予想される7月の1歳の誕生日には、この冬のレッスンが懐かしく思えるような状況になっていて欲しい。
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