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今日はとても素敵な光景を目撃した。
遊び好きなハスキーが初対面のイングリッシュセターとその門下生のゴールデンとガーデンで一緒になった。 ハスキーはセターには目もくれず、日頃遊び慣れた犬種であるゴールデンに挨拶抜きで挑発を開始した。 ところがゴールデンのほうは遊ぶどころか、突然の状況に戸惑いしばらくは我慢していたが、あまりのしつこさについに怒り出してしまった。
数メートルほど牙をむきながらハスキーを追いまわしていたが、ハスキーにとっては「しめた!乗ってくれた!」と大喜びだったようである。
次の瞬間、ゴールデンとハスキーの間に割って入ったのがセターであった。 牙をむく門下生のゴールデンをクールダウンさせるかのようにたしなめ、ハスキーに対しては「家のもんが迷惑をかけたようで、スマンことです。何なら私があなたの相手を務めさせていただきましょう。」とはっきり申し出ていた。
任侠映画ならセターがハスキーを羽交い絞めにして「恐れ入りやした」と言わしめるのだろうが、このセターは違っていた。 自ら相手となりハスキーの遊び心を満足させつつ要所要所ではさらりとかわしながら、門下生のゴールデンに世渡りの処し方を身をもって教えているようであった。
それは、これまで飼主と様々な場所に出かけ様々な犬と出会った中から、「揉め事は嫌だよ」と飼主がセターに求め続けていた事柄を忠実に実行する中での集大成のようにも見えた。
そのうちゴールデンのほうも気持ちを切り替えることができたのだろう。 気を許すような仕草を見せながらセターを見習い始めていた。
「うーん」と感心しながら私はその光景を眺め、犬たちの心の奥深さを感じ喜びで胸が一杯になった。
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