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今日で10月も終わり。 朝から生憎の雨で、出足が悪いと予想されたカフェでは、スタッフによる来月のパスタの試食会が開かれた。
何処からそのようなアイデアを仕入れてくるのか知らないけれど、月末近くになるとパートナーのKとスタッフのMが何やらくっちゃべっている間に話がまとまるようで「来月のパスタはこれにしまぁす!」と言って試食会が催されるのだ。
「食べてみてください」と丁重に差し出されるパスタ。 私はまず、見た目の美しさと豊富な具材で第一印象を決める貧乏性の性質だから、タラコスパゲッティのようにいくら美味しくても貧相に見えるものは躊躇してしまう。 次に、香りと温感が続き、味・食感で最終判断を行うのだ。 「どうでしょう?」 覗き込むようにふたりが私の反応を尋ねる時が、今の私の奔放な生活の中でもっともストレスを感じ、怖じ気ずく瞬間である。
カフェをオープンした11ヶ月前。同じようなシチュエーションで、まだ未熟な私は女の気持ちを推し量ることもせず、感じたままを口に出してしまった。 途端に空気が変わり、私は無言の集中砲火を浴び、作る側の意欲を喪失させてしまったのだ。 『大酒飲みでヘビースモーカーの男に、愛犬とランチを食べに来る女性の好みが分かってたまるか!』 私にはそう聞こえたし、そのとおりだと反省した。 以来、試食の時の第一声は「美味しい!」となった。
カフェの料理は本格的主婦料理である。 家族が安心して美味しいと言える料理を主婦たちが知恵を絞って作っているのだから、私なぞが口を挟む余地は本来ないのだ。 「カレーやさんのカレーより美味しい」と何人もの方から褒められると今では私の方がうれしくなってしまう。
「にんにくの香りがもう少しあったほうがよい」というのが来月のパスタに寄せる密かな感想だった。 その11月のパスタは2種類。 『野沢菜とジャコのピリ辛パスタ』がメインで『お肉たっぷりミートソース』は普通のミートソースとか。 さてさて、皆さんの好みはどっち?!
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