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今日の午後カフェに来ていただいた方は、「随分繁盛している店だな」と思われたかも知れないが、朝から来られていたシベリアンハスキー・チェス君のご両親は「このままではチェスの社交場はいつまで持つか分からない」と心配されていたと思う。 正直、開けてみなければどうなるか分からないというのがオープン8ヶ月を前にしての実感である。 午前中は閑古鳥、午後は一時的にインターネット状態。 その心は、ドットコムなんて洒落てる場合ではないか。
暇な午前中の隙間を埋めてくれたのが、先程のチェス君とお泊りのMダックスのリズだ。別名『ストーカーのリズ』。飼主と一緒の時は「あなたこそ私のすべてだ」なんて振る舞うくせに、お泊りになるともっとも使えそうな人間をすばやく見つけ出し、まとわりつき、我が身の安定を最優先するように膝に上り、人のベッドに潜り込む。その餌食になるのが優しきパートナーKだ。 「だって、もし明日リズが死んだとしたら、ああ、あの時もっと優しくしとけばよかった、なんて後悔したくないでしょ」と彼女は言う。なるほど、と思わぬことも無いが、どこか引っかかる。 「明後日も再来年も10年後も、もしリズが生きていたら、君はずっと明日のことを憂いながらリズのシモベになるのか?」 そう言うとKは悔し紛れに一言で片付けた。 「ケッ!」
天が落ちてくるかもしれないと毎日毎日心配しながら生活していた中国杞の国の人々。杞憂の由来である。
カフェの先行きやリズの明日は確かに天が落ちる以上の現実味はあるが、それを憂いながら日々へこへこするのはご免こうむりたい。
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