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愛犬自慢になって恐縮であるが、我家の愛犬スー(ゴールデンレトリーバー7歳)はこれまでに出会った犬たちとはかなり違っているように思う。あまりに身近すぎて深く考えたことはなかったけれど、彼女との生活はやはり普通の犬との生活ではないように思える。取り立てて何が、と言うわけではないが、トータルで不思議な犬なのである。ちなみに彼女の様々な反応は7歳と言う年齢から来ているものではなく既に2歳の頃から定着している。数回に渡って親バカぶりを紹介させていただくことにする。
朝、7時頃に私たちが活動を始めても彼女は私のパートナーのベッドでまだ眠っている。 「スーゥ、シッコ行くよ!」と声をかけると、迷惑そうに重そうな瞼を上げるが、また布団に潜りなおししばらくは出てこない。 「早く、行くよぉ」。何度目かの呼びかけにようやく出てきた彼女の頭には人間並みにしっかり寝癖がついている。
「スーゥ、ご飯だよ!」 「どうしようかなぁ」とまた面倒くさがっている。食器のところまで行くと美味しそうに全部食べてしまうのだが、それまでの腰が重い。
朝のテレビ番組で『今日のわんこ』というのがあるが、これは好きで最後までじっと見ている。テレビを見る犬は何頭も知っているが、スーの『みる』は人間のそれと同じ『観る』である。夜の動物番組はとりわけ大好きで、ナレーションの中に自分が知っている言葉を聞き分けては「なるほど、そうか」という顔をして1時間でも観ている。
基本的に日本語が通じる。 散歩の時は社会的なこともあり人前ではリードを着けるが、本来何処へいってもノーリードで問題なく、「ちょっと待って」「いいよ」はやく・ゆっくり・帰るよ・猫いるよ・ボール捜してもっといでなど多くの犬たちがやるようなことも普通に出来る。 困るのはスーが用事があるときに私たちに話し掛けることである。 「ごめんなさい、このドアもう少しちゃんと開けてください」「たしか、昨日のガムが残ってたはずだから、持ってきてくださる?」「ねぇ、お母さんどこか知らない?」「この高さじゃわたし届かないから取ってくださる?」「ベッドに上がりたいんだけど、お布団のこの辺り抑えて上りやすいようにしてくれない?」 そのすべてが、対象物に視線をやりながらの「ヒ**ーン」の一言だ。解読には時に想像力が必要だが、間違えても心配ない。当たるまで言いつづけるのだから。
家にいて『スーがいるから』と配慮することはない。ちゃぶ台に食べ物があっても心配ないし、いたずらは皆無だ。 静かに歩き一歩ずつ階段を昇り降りし黙って寝ている。
つい先程スーがやってきて私を試すようなことを言った。例によって「昨日もらったガムのことだけど、何処にあるか知らない?」「さっきジェニーが持っていって全部食べたでしょ。」「あら、あれ私のガムだったの?」 知ってたくせに一応とぼけて見せて新しいガムを貰おうとの魂胆だった。いつもなら「早くもってきてよ」としつこいのに、今晩は「でひぇっ、ダメか」とばかりに引き下がっていった。(つづく)
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