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お泊りのレオンベルガーがすやすや寝ているうちに、先を急ごう。 私のコラムは断片的で、犬の成長に合わせた流れがなく、思いつきの行き当たりバッタリである。だから妙な誤解を生むことがあるので注意して読んで頂きたい。 今日の話は、少なくとも生後7ヶ月以上で、室内飼育をし、オスならば去勢されており、人間社会の一員として暮らす犬の飼主が対象である。
『我に返す』というのがコントロールの基本である。 命令してそれに従わせることをコントロールだと勘違いしている方が意外と多く、そういう方の傾向として自分の犬はオスワリやマテ程度の訓練は出来ていると思っている場合が少なくない。 しかし、散歩中に声をかけられたり、犬と出会ったり、カフェに出かけた時などを思い出して欲しい。普段なら自分の言うことを聞く犬がそうではなくなることを経験されている飼主は多いはずである。 一方で、物静かに飼主が声をかけただけで、おりこうさんに言うことを聞く犬を見て、可愛くも羨ましく思った経験をお持ちの方もおられよう。 後者の犬は訓練されてそうなっている場合もあるだろうが、実はそれらの犬は先天的に興奮度が低く、騒がしいことや他犬に興味がなく、飼主に対して注意深い性格を備えている場合が多いのだ。そしてほとんどの犬が前者のように非日常的な状況では興奮し、我を忘れ、いい気になるものである。この状況下で飼主は犬に命令するから、言うことを聞かず無視され、ついには怒鳴り、叱り、回りの冷たい視線を感じて諦めることになっている。 もし、犬を我に返して冷静ないつもの愛犬にすることができたら、「スワレ」の一言でスマートにカッコよく座らせることができ、ニマッとほくそえむことができるはずである。
犬を我に返すのに命令や怒鳴ることは不要どころか、笑止千万、馬耳東風、猫に小判、豚に真珠、馬の耳に念仏、百害あって一利なし、火に油、血圧上昇、家内安全?…つまりは愚の骨頂である。 無言もしくは小さな声で、リードを介して飼主の存在を思い起こさせ、その意思を伝えればよいのである。命令はその上での話になる。
それができない、と困っているのが飼主であり、どう教えたら分かってもらえるのかを悩むのが私である。 だからいくら犬を訓練しても、飼主が分からない限りその訓練は無駄になってしまうことが多い。 キーワードは「リードショック」「毅然とした態度」「えらいぞ」であり、さらに根底にあるのは以前のコラムで書いた「教育とは教えられたことをすべて忘れたとしてもなお残るもの」であり、いずれ述べる『訓練とは』に通じる。
もし時間が取れれば次回から上記のキーワードについて触れてみたい。そろそろレオンベルガーは寝返りを打ち、薄目を明けて私の仕事が終わったかを密かに観察し始めている。
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