From the North Country

ファーガス基金2013年11月 2013年12月03日(火)

  ファーガス基金のご報告です。

'12年9月20日開設:目標額150万円

【今月の入金報告】
12月3日カフェ募金:10,640円(内お札は6,000円)
12月3日ドッグカフェナガサキ10周年:100,000円
      
12月3日までの中計:667,471円
目標額まであと:832,529円

振込先
※ゆうちょ銀行(郵便局・郵便口座)からは
記号;19050 番号;33999621
※他金融機関からは
【店名】九〇八(読み キュウゼロハチ)
【店番】908
【種目】普通預金
【口座番号】3399962
名義は郵貯銀行の規定上、『介助犬ファーガス』で開設できないため、ナガサキフミアキとなってしまいますが間違いなくファーガス基金として管理いたしております。
なお、この基金について詳しいことをご存じない方は、このページ上部にある『タイトル一覧』をクリックし'12年9月20日・29日付のこの欄をご覧のうえご支援くだされば嬉しく思います。

ファーガス基金を管理している通帳はカフェにありますので、いつでも開示いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これまでファーガス基金を活用した金額は215,000円で、現在の残金は452,471円となっております。
当初は医療費もかかりましたが、厚別中央通り動物病院のご厚意もあり、14カ月のこれまでの月平均経費は15,000円で経過しております。
フード・検査治療費・ワクチン接種・シャンプーが主な支出先です。

我が家の愛犬アモは12歳半ですが、今のところ健康なので医療費は全くかからないのに、食欲旺盛プラス飼い主の思いやりもあってもうちょっと経費がかさんでいます。
人が食べる原材料をわんこ用にアレンジした安全なフード(ちょっと高い)を与えてますし、看板犬ですのでそれなりの報酬と諸経費が必要なものですから…

話は大きくそれますが、現代人やわんこにとって化学物質を摂取したり吸引したり体に浴びることは避けて通れません。
既に戦後の親世代以前からの汚染で、体質に影響が出て以前には無かった治療や療法食が普通になっていますし、医療もそれを追っかける形になっていますが、『食』は療法の前にやはり大事にすべきだと思います。

深い話になりそうだったけど、アモが私を見て言います。
『とうたん、今朝“命の煙”と“命の水”をコンビニで買ってきたよね』

私は言い返します。
『おまえがこんな風にならないよう気遣ってるんだよ』って。
反面教師ってのも悪くないけどね。
 

おかげさまで10周年 2013年11月30日(土)

  「こんな田舎の住宅街にお客さん来ると思う?」
「さあ、どうかなぁ」

商売なんて未経験の私とKがカフェを開いて今日で10年になる。
『まあ、なんとかなるべ』という、あの時のお気楽さの理由は今もって分からないが、たぶん、盲導犬協会を退職して今後の生き方を模索する意味での日本一周の旅が、そんな心境にさせてくれたのではなかろうか。

『思索せよ 旅に出よ ただ一人』
先日亡くなった元セゾングループ代表で詩人/作家の辻井喬さんの詩の一節だが、「そうだよ」と心から同意する。
言葉の奥に潜む苦しさと深さを体験した一人として。

まぁ私の場合、途中から一人旅じゃなくて、助手席でシートベルトをしたトトロの大きな縫いぐるみが相棒でしたが…

ともあれ10年を過ごせたこと、消えて逝った人とわんこが心に残り、この10年に巡り合った人やわんこ達への感謝が私たちを包み込んでいる。

『ありがとう。おかげさまで』
すべてをこの言葉に捧げたいと思います。

さて、カフェの10周年。
『どうする?どうする?』
という問題が持ち上がった。

1.10周年だからお客様に感謝の気持ちを“形で表す”のが普通でしょ
2.10周年をお客様から祝ってもらうという“奇策”もあるよ
3.みんなで飲み会でもしたら?

いろんな案が出たけど、私の心に引っ掛かることがあった。
『カフェの15周年って、可能性あるの?』

『ないジャーン!!』

そしたらファーガス基金はどうなるのさ!
まだ全然足りてないよ。
途中で投げ出すんかい!
と、苦悶することになった。

で、カフェとしては10周年を感謝して、お客様に記念品を渡すとか、各種サービスを実施するとかいう考えもありましたが、ぜーんぶやめてファーガス基金に予算していたお金を振り込むことにしました。

だから、明日からも何食わぬ顔で11年目の営業を始めることにします。

10周年サービスを期待されてたみなさんごめんなさい。

10周年のお祝いを考えておられた方は、募金箱か口座振り込みをお願いします。

みんなで飲み会を、と希望されていた方は是非具体的なお話を聞かせてくださいね。
とことん付き合いますよ。

10年前のあの日、いつか楽しいことがあればいいなぁ、と夢見ていた私とKに今日という日がやってきた。
私たちなりの幸せな日々の積み重ねでした。
 

降ったど〜! 2013年11月29日(金)

  一夜にして白銀の世界になった札幌。
ちょうど定休日でなんともありがたかった。

「はて、この雪は根雪となってガーデンを守ってくれるのか?それとも解けてぐちゃぐちゃとなるのか?」

ニュースを聞くと20数センチも降ったのはカフェ周辺だけで、市内の他地区は10センチ程度だという。
「これは大切にしなければ!」
と、除雪機ガロアラシ号を駆動させ、雪は飛ばさずに踏み固める作戦を立てた。

車庫で半年眠っていたガロアラシ号のエンジンを始動!

カツン、カチン。
あれ?
気合を込めてもう一度!
カツ・カツ・カチン
バッテリー切れだった。

10年も働いたバッテリーだもんな、弱って当然か。

昔の人間なら普通に使っていた充電器をセットし、始動に成功!
明日土曜日が高温にならなければ、楽しく遊べる程度のガーデンが完成いたしました。

その後、あらためて完全充電する時間を有効利用しようと、我が家の愛犬アモと原始林に出かけ、今日は未知の森に踏み入ってきた。

下りの傾斜が心地よく、どんどん進んだところで道が消えた。
ちょっと不安はあったが、足跡を頼りに『後戻りすればなんとかなる』という安心感があって、さらに先へと深入りしてしまった。

雪を漕ぐアモの足に、笹か下草で切れた傷から血が滲んでいた。
引き返そうかと遠くを見た時、見覚えのある池らしき湖面の輝きが見えた。

だから冬の山歩きは楽しい。
雪ですべてが覆われるけど、森は落葉し、見通しがきき、何処でも歩ける冬だから味わえる醍醐味がある。

疲れ切ってカフェに戻ると、ガロアラシ号の充電は完了していた。

そういえば、ガロアラシ号だけじゃなくカフェも10周年ですね。

そのことについては、また明日か明後日にでも…
 

大型犬の飛びつき 2013年11月23日(土)

  何を書こうかなと考えながら、今夜の『Kの部屋』欄を覗いてみたら更新されていた。

1歳になったばかりのお泊り犬バーニーズの振る舞いが、Kの愛犬だったゴールデンのケンピーの若かりし頃と重なったようだ。
「頭のいい子だね。遊んであげたらすぐにルールを理解したみたい。でも、飛びつきをうまくかわさないと危ないね。」
昨日の定休日の日中に、楽しい時間を過ごしたらしい。

それが今夜の更新に繋がったようだ。

『で、ポイントはというと特に大型犬は小さい時から飛びつきは絶対にさせないしつけが必要ということですね。』と、Kは結んでいるが、私はちと違うと感じている。

大型犬であれ、仔犬の頃のあの愛らしさ溢れる突進と飛びつきを誰がさせずにおかりょうか?
無理、絶対無理。
犬飼いの特権ともいえる喜びである。Kもそれは分かっているはず。

で、補足が必要と考えた。おかげでこの欄も更新できるし…

大型犬の場合、生後5〜6ヶ月頃かな?『このままじゃ、まずいんじゃないかな』と思う時期がやってくる。

それまで存分に堪能していた突進と飛びつきが“危険”と懸念されるようになるのだ。

その時になって『ダメ!いけない!やめて!』はちょっと虫が良すぎる。
私の場合、あくまでも私の場合、違った対応をとる。

それまでと同じように遊ぶ中で“突進されたときの痛み”“飛びつかれてバランスを崩した後の痛み”をわんこと共有する、っていうか、私の痛みを大幅に減らしその分までわんこに分け与える術を使う。
『おい、どうした?大丈夫か』と私は言い
『楽しーい、けど、痛ーい!どういうつもり?』とわんこに思わせる。

図体がでかくなり、仔犬を卒業するいわば元服の儀式でもある。
一時的に子供返りをしたり難しい時期であるが、『楽しかった突進と飛びつき』の別れを日々を送る。
その頃から本格的に言葉を教え、振る舞いや基礎的な訓練を行って心の隙間を埋め、独立心と共存する喜びを育み、成犬へと導いていく。

最後に、Kの愛犬だったケンピーが“その事件”以来飛びつかなくなったのは、自分が痛かったことも多少はあろうが、痛み悲しむKの姿を彼なりに感じていたのだと私はうらやましく思っている。
感受性の豊かなわんこだったから。

でも、私がKのように大型犬と接したら身体がいくつあっても足りゃしない。
 

バーニーズもいいね 2013年11月22日(金)

  天気予報があまりにもネガティブだったので、今月の札幌は雨やどんよりした印象が強いけど、実際は予報以上に恵まれた日々が続いている。
雨に反し晴れる時間が多く、風が弱い。
おかげで、先日も強行した釣行は快適に楽しめた。

さて、バーニーズマウンテンドッグという犬種をご存じだろうか。
大型で一般的に黒白茶のトライカラーが美しく、とても優雅に見える。

が、実際は病気(遺伝的疾患)持ちだし、抜け毛は多いし、びびりだったり気性が激しかったり、どでかい割に遊び心が強かったりと一生懸命関わらないと暮らすのが大変な一面もある。
おまけに寿命が短いとも言われているから、愛好家の飼い主は甘々になりやすい傾向がある。

カフェでは2頭の常連わんこがいて、1頭は憎めない天然びびりの小柄なラブちゃん。
もう1頭は力任せに感情表現をして、結果的にお父さんにぎっくり腰を、娘さんをじん帯損傷で病院送りにしたわんこが通っている。

後者のわんこは今日から我が家でお泊りである。

昼間の格闘で身体のあちこちが痛いけど、実に楽しい。
あばずれ女のレオンベルガー/ジェニーと過ごした10年を彷彿とさせてくれるようだ。

こういう大型わんこのいいところは、夜中にこの欄を書いている時に手を伸ばして体を触ると、興奮せず黙って受け入れ、面倒くさそうにペロってその手を舐めてくれるんだよね。

ただね、残念なことにカフェ周辺のバーニーズは散歩中に出会うとみんな吠えかかってくるんですよ。

本来そんな犬種ではないはずなのに、きっとバーニーズの気質と気心を考えずにあのトライカラーに魅せられて飼って、対決する喜びを知らず育ててしまったんでしょうね。

もったいない、のひとことに尽きる思いだ。

わんこと暮らす極意は、天気予報みたいに曖昧なところはあるけど、右往左往しながらも台風の予想範囲に収めることが肝要で、その逸脱を認めない強さが求められる。

でも、一緒にいるととっても楽しい!
そんな暮らし方を身に着けて欲しい。
 

穏やかな日々を願う 2013年11月19日(火)

  満月から3日の欠け始めた下弦の月が寒い夜空を照らしている。
10日前の積雪はすぐに消え、雨模様のぐずついた日々が続き、『いっそのこと早く根雪にならないか』と思ってしまう。
でもまだ11月。例年ならクリスマス辺りがその時期だからまだ1か月近くもあるのですね。
それなら、せめて長い冬の前の1か月は『穏やかに晴れててくれよ』とは北国の住人の願いだ。

寒いというだけで痛くなった膝をさすりながら6か月先を逆算する日々が始まった。

さて、目と態度でしか物言わぬ12歳半の我が家の愛犬アモだから、日に何度か上り下りする階段は健康というより体調と気力のバロメーターである。

下りは丈夫な前足を揃えて慎重に下りればいいが、上りの前には一大決心が必要になる。
途中でつまずいたり体力が尽きたら、転落するかしがみついたまま動けなくなるから。

さっきアモの目線で下から階段を見上げてみた。
そそり立つ剣岳をアモは毎日登攀している気分だろう。
冬山でないことが幸いなだけだ。
八丈島のキョンとも言える?
私は新田次郎の『『強力伝』『富士山頂』や『孤高の人』の強力(ごうりき)の姿とダブり、実直に猛々しく生きる彼らの散り際の美学を守る責任を感じる。

ともあれ、Kは「せーのーで、おいしょ!」と3回くらいゼスチャー交じりの音頭を取りながら、アモが階段を駆け上がる意欲を高める日々がこのところ続いている。
それでなんとか上れているから、今は幸せな時間なのだ、と二人は感じている。

いましばらくの幸せが少しでも長く続きますように。
下弦の月にハーッと白い息を吐きながら祈った。
 

まもなく10周年 2013年11月16日(土)

  2週間のご無沙汰でした。
何かがあったわけではなく、何もなかったのが更新遅れの理由と言えば理由です。

若い頃はちょっとした出来事にも感動や主張が生まれてきたものですが、この年になると過去にいろんな経験をしてるもんで新たな発見が少ないと思えてしまうようです。

それがいかんのだ。っていつも戒めております。

で、このところのことをふたつ書いておきましょう。

1.先日10日(日)のこと。「今度の土曜日、お泊りお願いします」とIさん。
「はい、わかりました、9日ですね。」と私。
「え?次の土曜は23日じゃなかったですか?」とIさん。
二人ともボケボケ状態だった。

そのズレをカレンダーを確認してから気付いた私たちだったが、
「あれ?つまり今日は10日?ヤバイ!昨日が(年に一度受講が義務付けられている)動物取扱責任者研修会だった!」と私の方が慌ててしまった。

結局私は13日に急きょ研修を受け、Iさんちのアレックスは月末近くのお泊りと相成った。

2.最近の新規のお客様のわんこは、かなりの割合で安心できてうれしい。
問題があるわんこの場合は事前にご連絡いただけるから対応ができるし、そうじゃなければOKなわんことの来店だと思えるようになった。

何より、わんこのためじゃなく、美味しい食事を楽しまれるわんこ連れの方の来店が普通にあるのが良い。
これぞ本来のドッグカフェの姿であろう。

日々いろんなことがあり、悲喜こもごもではあるが、それも日常。
あたふたせず、ドーンと構えて過ごせるようになった10年が過ぎようとしている。
 

ファーガス基金2013年10月 2013年11月01日(金)

  '12年9月20日開設:目標額150万円

【入金報告】
11月1日カフェ募金:20,298円(内お札は18,000円)
      
11月1日までの中計:556,831円
目標額まであと:943,169円

振込先
※ゆうちょ銀行(郵便局・郵便口座)からは
記号;19050 番号;33999621
※他金融機関からは
【店名】九〇八(読み キュウゼロハチ)
【店番】908
【種目】普通預金
【口座番号】3399962
名義は郵貯銀行の規定上、『介助犬ファーガス』で開設できないため、ナガサキフミアキとなってしまいますが間違いなくファーガス基金として管理いたしております。
なお、この基金について詳しいことをご存じない方は、このページ上部にある『タイトル一覧』をクリックし’12年9月20日・29日付のこの欄をご覧のうえご支援くだされば嬉しく思います。

ファーガス基金を管理している通帳はカフェにありますので、いつでも開示いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
介助犬として働き始めた1年目は、様々な身体トラブルで病院通いが続いたファーガスでしたが、今年は本当に健康で、体重も元に戻り元気に活躍してくれているようです。

カフェには盲導犬使用者の方も来られるし、車椅子のNさんとファーガスも。
また、現在聴覚障害の方が黒シバりんちゃんと来られてますが、こっちは聴導犬ではなく仔犬のしつけのアドバイスをしています。
聾学校の先生をしておられるそうですよ。
手話ができなくても唇を読んでくれるので、ゆっくりはっきりお話しすれば楽しくおしゃべりできます。筆談で答えてくださいます。

結びつけてくれたのはわんこたち。
やっぱ犬っていいね。
 

カンバスに描く 2013年10月29日(火)

  カフェで恒例の『月火無料お散歩チェック』で、愛犬の状態と飼い主としての今後の接し方のアドバイスを受けた方がしばらくして“その後のご報告”をしてくださることがある。

そういう方の大概は『いい報告』であることが多い。
テレビや折り込みチラシで『Aさんの愛犬は○○の状態だったけど、ドッグカフェナガサキのお散歩チェックを受けてから、あらビックリ、こんなにお利口さんになっちゃいました』風のコマーシャルに使えるみたいに。

でも、実際そんな事後の経過を伝えて下さる方は限られていて、ましてやカフェ通いを続けて“暮らし易い家庭犬』を追求される方は限りなく少ない。

それぞれに生活や仕事、経済的な事情もあるはずだから仕方のないことだ。

そもそも、カフェがおヒマな月火を使って『歓楽街の易者にタダで診てもらう』程度の感覚が『お散歩チェック』の原点だから、余計なことを考えずに活用していただければよい。
カフェにはコーヒー代くらいの収入が入るわけだし。

その後のご報告は“おまけ”程度に考えている。
まあ家内制手工業努力の一環でしょうかな。

そんな今日、黒ラブゆうちゃんの飼い主Iさんからレッスンの依頼があった。
エネルギッシュで結構ハチャメチャなラブ、だった経緯がある。

過去にレッスンを行って基礎的なことは教えていたが、「メンテナンスを」との依頼で歩いてみたら、私を見るなり素晴らしい歩きをする。

で、私のIさんへのアドバイス。
「人を見てちゃんと行動するとても素晴らしいわんこになったと思います。ゆうはそれだけ頑張ったのです。今度は飼い主であるあなたが、ゆうからみて“ちゃんと行動できる飼い主”になりなさい」というもので、具体的な項目を提示した。

『人を見る』という表現はネガティブで、ずる賢さをイメージするかもしれないが、人を見ず、ただただコマンドに従う犬のつまらなさ悲しさ、そんな犬にした人の罪悪感を私は知っている。

おばあちゃんを気遣いながら歩き、子供とはしゃぎながら歩き、飼い主とはコミュニケーションを求めながら歩くわんこを私たちはもうちょっと本気で育てた方がいいと思いますよ。
 

いたずら心 2013年10月27日(日)

  夕方、すっかり暗くなった道をお泊り犬と散歩をしていたら、50メートル先から歩いてくる人の顔が青白く光っている。
老眼なりに目を凝らすと、顔は“のっぺらぼう”に見えてドキッとした。

歩きながらスマホを覗き込むことで、女性の顔が照らし出されていることに気づいた時、安堵と共に悪戯心が芽生えた。

女性が5メートルほどの距離に近づいた時、私は今の時期のわんことの散歩に欠かせない懐中電灯を顎の下あたりから自分の顔に点灯して「あなたこんな顔して歩いてますよ」と言った。

ハッともワッとも聞こえる小さな声を出して女性はスマホを閉じ足早に去って行った。

言っとくけど、最初に驚かされたのは私の方ですからね。
素直な気持ちを率直に表現しただけですからね。

悲鳴もあげず、不審者として通報されなかったのはわんこと一緒だったからでしょうか。
それとも?

イヤホーンをしたまま左右の確認もせず横断歩道を渡る自転車や歩行者を見るたび、どでかい音のするクラクションを鳴らして驚かせたり、口パクで話しかけるフリの悪戯心が今この国にあってもいいと思うのは私だけだろうか?

相手がある中で、自分が今何をしているのかをちょっとは意識しよう。
くだらんことで命を落とすな。

なんだか意地悪爺さんの極意が見えてきたようでちょっと楽しくなってきた。
 


- Web Diary ver 1.26 -