From the North Country

冬こそ外へ 2011年11月21日(月)

  夜11時半の外気は氷点下6度。
昨日から軽く降った雪は解けることなく銀世界を守り続けている。

これからの季節、カフェでは小型犬の来店が減る傾向にある。
『寒がって歩かない』とか『雪玉が身体について』なんていうのが主な理由である。

そんな中でもチワワのらむとチビは、今夕大好きな散歩に長々と出かけていた。
冬だろうが雪だろうが、暑さに慣れたメキシコ産のチワワであっても、外に出かけるのが大好きなふたりなのだ。

商売柄わんこのTシャツを販売しているけど、犬の防寒対策など考える必要はないと私は思っている。

外飼いのわんこなら防寒対策をとってあげたほうがよいけど、室内暮らしのわんこのために服を着せたり夜通しストーブをつけておくなんていうのは過剰対応だと申し上げたい。
ここは南極じゃなく北海道ですぞ。
日本のどこの寒冷地よりも暖かい室内が備わっているじゃないですか。

北海道の人なら冬の内地に行けば、みんな寒い思いしてるでしょ。
わんこの寒さを案じるあまりひ弱なわんこを育て、揚句に半年も社会から隔絶して内弁慶なわんこを育てていませんか?

旭山動物園の素晴らしさは、それぞれの生態にあった環境を整えたうえで展示しているところにある。

私たちの愛犬はペット社会で暮らすわんこだから、それなりのしつけやマナーが求められているけど、その見返りとして“快適すぎる”処遇の中では虚弱で世間知らずなわんこに育てる懸念があることも知らねばならない。

冬の間に引きこもりで排他的なわんこにならぬよう、小型犬の飼い主は注意しよう。
 

きちんと向き合う 2011年11月20日(日)

  『ダメよ!ダメ』

愛犬が吠えたり、良からぬ振る舞いをした時に多くの飼い主が口にする言葉だ。
その指示がきちんとわんこに伝わり、自制するわんこの姿を見るときは清々しい気持ちになる。

駄々をこねる人の子供にも言い分があろうけど、『それは絶対ダメ!』と毅然とした母親の言葉に対し、『ここはひとまず、お母さんの言うことだから…』と反応する姿を見ると、日頃のしつけを伴った愛情が目に見えるようで気持ちいい。

子育てやわんこ育ての過程では『それはダメ!』という場面に必ず出くわす。というか、日々何度も直面する。

『ダメダメダメダメ!』
いつもそう叫んでいる自分が悪人に思われて、悲しく苦しくなるものだ。

いろんな“ダメ!”があるなかで、『それは絶対ダメ』と、ただの『ダメ』が混在していることに気づく。
それは人の子もわんこも同じだ。

文脈通じてます?
夜中の1時を過ぎ、かなり酔ってるので不安です。

子供がストーブに触って熱い経験をした時、最初は親に『熱いよおぉ!何とかして!』と泣き付いてくる。
親はストーブガードを設置して子供を守る。

そのうち子供も親も、触れば火傷する絶対的な現象と、駄々をこねれば許される社会的事情の境界線が曖昧になってくる。

さて、なんとしよう。

問われているのは子供やわんこの行動ではなく、経験であり親や飼い主としての規範であろう。

火傷を経験させる場面も必要だし、言い聞かせて納得させることも必要だ。

言い聞かせる時は何が必要だろう?
直接の火傷でなく、『こうすればこうなる。だからダメ』を人為的に示す行動が今、多くの飼い主に欠落しているのではなかろうか?

『それは絶対ダメ』
そう言い切れる課題があった時には、きちんと対峙しよう。
 

DCN48 2011年11月15日(火)

  今日発売の札幌の月刊誌『O.tone」(オトン)に短いけれど私のエッセイが掲載されている。
6回の連載を依頼されているから、なんとか頑張って思いの丈を書こうと思う。

AKB48のようにメジャーになることはないが、私にはカフェの仲間DCN48が後ろについてくれているから、とにかく心強い。

ちなみにDCNというのはDogs Cafe Nagasakiの略であり、48というのは48人じゃなくて平均年齢…?
あ"−!!書いちまった。
明日からぶっ飛ばされる〜!!

まあ、そんなこんなを臆せず悪びれることなくあと5回書きますのでよろしく。
途中でレッドカードが出されるかも知れませんが…

さて、初雪の降った寒い今日、ホワイトシェパードひめちゃんのレッスンが入った。
『無理です。犬の振る舞いを変えることはできますが、飼い主の意識を変えるのは難しいから』と以前、飼い主の接し方に不満を感じた私はイエローカードを出したが、めげずに通ってくださっている飼い主さんのわんこだ。

歩いてみるとひめに微妙な変化が起こっていた。
前回のレッスン後、私は「静かな散歩コースだけじゃなく、勇気を持ち胸を張ってもう少し賑やかな道路を経験させてください」とアドバイスした。

ちゃんとそれを実践してくれた姿が手に取るようにわかったのだ。
自転車にも不安を感じる弱虫で軟弱で甘えん坊のひめの反応が不確かだけど着実に?変わっていた。

飼い主の意識が変わったのだとしたら、私は全力で応援するだけだ。
きついことも言うけど今日は「一筋の光が見えてきましたよ。頑張りましょう」と励ました。

私の評価が希望を与えたならうれしいが、それ以上にDCN48の励ましの言葉が飼い主さんにモチベーションを高めてくれたに違いないと思っている。

実際のところ平均年齢はもうちょっと下かな。
 

こだわりのシープドッグ 2011年11月13日(日)

  お泊り犬ボーダーコリーのハグはこだわりが強い。

どうしても私の左側を歩きたがるし、左の建物側にへばりつきたがる。
だから左側通行をする時は、余裕があって適当に臭い取りをしたりマーキングなんかもするが、歩道がある道路で右側通行になると車道に落ちない程度にひたすらまっすぐ歩き、歩道がなければ左へ寄ろうと体重をかける。

こうした傾向はボーダーコリーはもちろんシェルティーやシェパードなどシープドッグに多く見られる。

そんなことは別にどうでもいんじゃないかと思われるかもしれないが、家庭犬として暮らしていると右手にわんこを持った時にはそちら側でじっとしてもらい時もある。
なのに強引に定位置の左側に回られると荷物を落としそうになることだってある。

あのこだわりは病的ですらある。
きっとシープドッグの何かの遺伝子がそう促しているのだろう。

シープドッグ系のわんこを飼われている方は、仔犬のうちから左手持ちと右手持ちの歩行をバランスよく組み合わせるようにした方がいいですよ、とアドバイスしておこう。
そんな風にだけ思っていたら、ハグがウンチする場所にもこだわりがあるのじゃないかと感じ始めた。
3日連続、わざわざよそ様の玄関前で踏ん張るようになっているのだ。

シープドッグ=『妙なこだわりを持ちやすい犬種』と言えるかもしれない。
 

ご心配をおかけしました 2011年11月10日(木)

  この1カ月の定休日は毎週病院通いだった。
今日の大腸検査ですべて終了。

『ひょっとしたら長引くかも』と懸念していたが、検査結果はまあまあだった。
「S状結腸辺りに1個あるポリープは4ミリですから1月から比べれば1ミリ大きくなっています。でも切除するのは5ミリ以上ですから来年まで様子を見ましょう。来年、病院の方から検査の連絡しますね。」

『1年後に病院から連絡しますね』、なんて言われた病院は初めてだったので「生きてたらよろしくお願いします」とちょっとうれしくなって答えた。

「ところで入院した原因の憩室炎の方は?」と私は尋ねた。
「炎症は完全に収まっていますが、これを見てください」と女医は腸内の映像を見せてくれた。
「わあ!穴だらけですね」
「そうです。完全に治すなら憩室部分の腸を切って繋げるのがいいのでしょうが、あちこちハチの巣みたいに憩室だらけです。腸を全部切るわけにはいかないので、うまく付き合っていきましょう。」

つまり、ひょっとしたら今回入院したようなお腹の痛みと発熱があるかもしれない。
そん時はまた4〜5日入院して治療しましょうということだった。

体質らしいから、57年間で1度の炎症でもあり、それって有珠山の噴火の確立の2倍も安全だ。
まあ、生きてる間にお目にかかることもあるまいと願う。

指の骨折も治り、お腹もそれなり。
昨日から検査食しか食べておらず、下剤を1800CCも飲み、トイレには10数回も通って空腹だった私は、今夜入念に腸内のアルコール消毒を行い、滋養をつける食事を食べる。

明後日12日(土)からバリバリ働くぞー!
 

課外授業 2011年11月08日(火)

  先週の定休日、久しぶりにレクの森へ出かけた。

今時期の昼時は誰もいないという目算はほぼ的中したが、偶然にもレッスン中のビビり犬チワワ/ココアちゃんと出会った。
「一緒に歩きましょう」ということになり、ノーリードにしてもらった。

あちこちの臭いを嗅ぎまわるココア。
『森の中に消えてしまったらどうしよう』と心配する飼い主さんに
「いいから知らん顔してどんどん歩きましょう」と私は促す。
遅れを取ったココアは慌てて私たちのもとへ走り寄ってくる。

“マテ”だけはちゃんと教えてあるから、時々『マテ』の命令をして抱っこし、再びフリーにすることを繰り返してもらった。
ココアは枯葉に埋まる道を実に楽しそうに駆け回っていた。

ここに私のレッスンの奥義がある。

誰もおらず、知らない場所でフリーにされた犬は最初のうちは有頂天になって臭いを嗅ぎまわるが、ふと我に返ると不安を感じてしまう。
冷静になって辺りを見渡すと飼い主は遠い先を歩いている。
慌てたわんこは『母ちゃーん』とばかりに駆け寄ってくる。

いつもと逆の構図が見えてきませんか?

多くの方は『○○!』と愛犬の名前を叫び「おいで!来い!カム!」と命令をするが、誰も戻っては来やしない。
そこで私に相談が舞い込む。
『呼び戻しはどうやって教えればいいんでしょうか?』と。

実は“呼び戻し”と“叱る”という行為は絶対に必要だが、訓練の中では複雑な要素が絡んだ最も難しい項目であることに誰も気づいていない。

不安な環境の中でフリーになっているココアは「マテ」と命令されて素直にフリーズする。「おいで」と言われるから近寄ると抱っこされ安堵を感じ、再びフリーにされる中で、自由と規制を体得していたのだ。

どうでもいい時に追い掛け回されながら『おいで!来い!カム!』なんて叫ばれるのとは次元が違う。

酔った勢いでプロの技術を書いてしまったが、安易に実践されるとあなたの愛犬は森に消えてしまいますぞ。

不安だらけでちっこいチワワのココアの話だけど、それまでにちゃんと基礎訓練を受けていることをお忘れなく。
 

自己嫌悪 2011年11月02日(水)

  飼い主の気持ちや事情に思いやらず、犬だけを見て評価を下す自分が嫌でたまらない。

1.生後2〜3週令の捨て犬を保健所から受け入れ、5か月になった頃に飼育としつけに悩んだ末、相談に訪れた方にお散歩チェックの後、私は冷たく言い放った。

「『この犬は可哀そうな犬。私が守ってあげなければ…』そんなあなたの想いが優しさがこの犬をダメにしてるのですよ。
犬は自分の不遇を悲嘆したり誰かのせいにして憎むこともありません。
あなたは勝手に犬の気持ちを擬人化して、自分を優しい人間にし、犬の良き理解者になろうとしている。
もしこの犬をちゃんと育てたければ、今後『保健所から保護した犬です』という事実を安易に言葉にしないで目の前の犬と向き合ってください」と私は口にしたのだ。

なにもそんな言い方しなくてもいいでしょ。
もちろん飼い主は涙を流されていた。

2.2歳のホワイトシェパードの飼い主は「散歩中引っ張るし、他犬やバイクに吠えるんです」と言いながら、自分によじ登ってくる愛犬を受け入れていた。

「この犬の問題行動を完全に治すのは無理です。すでに半分程度分離不安になっています。
シェパードですし頭もいいから犬の振る舞いを治すことはできますが、根本原因は飼い主であるあなたにありますから。
あなたは2歳にもなった愛犬が飛びついてくることに喜びを感じ、それを愛情だと思っています。
そこに原因があり、私は犬の行動は変えられますが人間を変えるのはとても難しいと感じています」と言った。

シーザーミランのように自宅に通いながら、飼い主を訓練する人はいないかと真剣に考えた。
いくら治療しても、病原体のある自宅に戻せば再発してしまうから。

それにしても初対面で『あなたに原因があるとか、無理ですあなたを変えれないから』とはひどすぎる。

本当に普通にやってたら無理だと感じるから発する“罵倒”なのだろうし、飼い主の本気度を確かめる“試金石”の意図があるのかもしれないが、発している私はそんなこと深く考えていない。

つい、感じたまま思いの丈を口走っている。
本当にごめんなさい。
わんこを制御するときはすこぶる冷静なのに、人に対するとき我を忘れてしまう私を制御する機能が備わっていない未熟さを恥じ入っております。

でもまあ、この年になって人格はなかなか変えれないので、お含みおきを。
 

素朴な疑問と聞きたい宣言がある 2011年11月01日(火)

  1.原発人災による放射性物質の拡散で、果物や食品の風評被害を防ぐために○○ベクレルと検査数値を表示し『国の基準値500ベクレルを下回っている』というような形で安全性を示そうとする手法がとられている。

私は相応の年齢だし、今年に入ってからレントゲンだのCTだのと、覚悟の上の被爆を相当しているから別に気にはならないけど、本当に国民が知りたいのはそんな数値じゃないように思う。

『3.11以前は何ベクレルだったの?』ということではなかろうか。

『東京からニューヨークまで飛行機に乗れば○○の被爆量です』なんて専門家が言ってたから、普通に生活していても私たちは日々被爆しているらしい。
ならば、去年まで食べていた物のベクレル数値を教えてくれた方が参考になるし状況がとても理解しやすくなる。
何故公表しないんでしょうかねえ。

2.“寄らば大樹の陰”という言葉がある。
この言葉の引用が相応しいか分からないけど、生き物には安心・安定を求める心理があるようだ。

今の時点でいえば“除染”という言葉がそれのように思えてならない。
『へえ、放射性物質って洗い流したり表面を剥ぎ取れば片付くんだ』
そう思いたくなるしそうであってほしい。

でも、流した水・剥ぎ取った土はどこに行くの?
これから流れ出てくる水・土に含まれているものは?
そもそも気の遠くなるような“半減期”というのを我々は教育されてきたのですよ。

『日本国はこのような状況にあり、国民は“今すぐ健康に問題があるわけではない”が、被爆による未知なる被害で不安と今後の健康、それと子孫への影響課題に立ち向かっていかなければならない状況になった。
政府は(原発推進という)誤った政策により結果的に日本国民存亡の危機を招いてしまった。
繁栄と引き換えという言い訳があったにせよ今となれば過ちを認めざるを得ない。
だが、我らは今を生き明日を生きようとしている。
汚染された祖国ではあるが、我らが祖国であり故郷である。
例え今後我らの観念や身体に何が起きようとも、子孫の繁栄のために自らへの罰として甘受し、同じ過ちを繰り返さない社会を築かなければ、それこそ“あの日に亡くなった方々と、その後に歯を食いしばった方々”へ申し訳が立たない。
この国に生まれ、この国で暮らすという覚悟が今求められている。』

酔い潰れそうになる妄想の中で、真実が知りたいと思った。
 

決してマネをしないでください 2011年10月29日(土)

  先日27日、いよいよ1月に骨折の治療を受けた指からちょうど9か月ぶりにプレートとスクリューを取り出すための手術を受けた。
私が入院するといろんなエピソードがあるものだから、それを楽しみにしている方もおられよう。

もちろん今回もありましたよぉ。

老朽化のため来年6月に移転する病院に昼前に入院した私は、さっそく洗礼を浴びた。
「3番目に手術予定の方が今オペ室に入りましたから次は長崎さんですよ。点滴を始めますね」と看護婦は作業を始めた。
「4番目が私ですか?」
「そうです。4番目ですよ」
「病院では4という番号は使いませんよね。この病室は313号だけどお隣は315号室ですよねぇ」
「…、大丈夫ですよ。ちょっとチクッとしますよ。」と言いながら看護婦は私の左腕の静脈に留置針(カテーテル)を挿入し入念にテープで固定した。

次の瞬間「あ!」と看護婦が声を出した。
「バカだねえ、あたし。手術するの左手でしたね。ごめんごめん。右手に点滴しなきゃね」
テープとともに左腕の毛をむしられる痛みが辛いと感じた後、再び右腕にチクリと痛みが走った。

たぶん私の記憶の最後に残る記念すべき8人部屋だったろうに、老朽化していたのは建物だけではなかったようだ。

ふと、ベッドの頭にある『主治医:井畑先生』という札が気になった。
『誰?この人。』私の主治医は別のI先生で『オペは私が行いますから』と言われていたし信頼も寄せていたのに…

オペ室に移動するエレベーターの中で「執刀医もこの先生なの?」と看護婦にその不安を口にした。
「伝えておきますね」とだけ看護婦は応えた。

「I先生とともに長崎さんの手術を行う井畑です。よろしく」
麻酔が回る前に井畑先生が挨拶された。
なんかカッコいい雰囲気を感じ「お願いします」とだけ答えて私は眠りに落ちた。

病棟で意識が戻り、退屈になった私が待合所でKに電話をしているところに井畑先生がやってきた。
「どうですか?」と尋ねる先生。

あの時はボーっとしてベッドに横たわっていたからはっきりしなかったけど、話をしじかに見ると『カッコいい!』
まるで救命病棟24時の江口洋介、そのものであった。

「僕は室蘭に帰るから明後日29日、傷を見せてくれますか?」と言われたのに、私は「土曜日は仕事があるので無理です」と答えていた。

今思えばもう一度会いたかった。
それほどカッコいい医者だった。
翌日、「わかりました。明日から傷口をハンドソープでいいですからよーく洗ってください。血が出ても痛くても指を動かし続けてください。治りは遅くなるけど機能は回復しやすくなりますから。約束ですよ。」と言いながら傷口を消毒し包帯を巻いてくれた。

もう一回、指を折ってもいいなと思えるような医者に出会ったのは初めての体験だった。
カッコいい医者ってやっぱいるんだ!
 

めったなことでは死なないしくみがある 2011年10月24日(月)

  先週の火曜だか水曜日、ガーデンからカフェに戻ったMさんが「テンテン、たまご飲んじゃった」と言い出した。
事務所から出てきたばかりの私は「はあ?」と事情が呑み込めなかった。

話を伺うと、我が家の愛犬アモがいつも咥えているカモノハシの縫いぐるみのお腹に入っている3個のたまご(ピーピーと音の出るたまご型の代物)の一つをテンテンが横取りしたらしい。
それを取り返そうとしたMさんが執拗に追いかけたものだから、テンテンは慌てて腹の中に納めてしまった、ということのようだった。

よくある話である。
そういう時は、慌てて追いかけ『出せ!出せ!』と迫るのが一番よろしくない。

呼んでも逃げ回るわんこに対し、心は怒りに満ち『もしかして呑み込むのでは?』という不安があるときこそ、『あら、いいねえ。何持ってるの?』と最大の演技をして相手を油断させ、別のおもちゃなんかを見せながら近寄ってきたわんこの隙をついてさりげなく捕獲し、口から取り出したのち、怒りと安堵にまかせてぼこぼこにしてやるのが一般的な飼い主のベストである。

もちろん、その場に私がいたら『これ!テンテン。』と言っただけで彼女はペッとたまごを出したと思う。
だってぼこぼこにされることだけは避けたいと思うでしょ。(ちなみに過去において私がテンテンをぼこぼこにしたことはありません。名誉にかけて。でも『あ!本気なんだ』と感じさせたことはあります。)

ともあれテンテンはたまごを呑み込んでしまった。

あの時Mさんがあたふたしていたら、私は動物病院に行くことを勧めただろう。
そうじゃなかったから私は別のたまごを持ってきて、ナイフで切り開き『これならたぶん3日から5日で便に出るでしょう』と予想した。

同時に「(誰でも普通に買える)常備品で吐かせるなら方法もあるけど、前の犬は吐き戻したのはいいけど、分量が分からずに飲ませたものだから胃が荒れちゃってね…』と付け加えた。
そばにいたKさんがすぐにネットで調べて「23キロなら5tくらいが適量だって」と教えてくれた。
「あの時はその10倍は飲ませたかも」と私が言う話も聞かず、Kさんは『これまでいたずらで食べた物からしたらたいしたことない』と、様子を見ることになった。

「便が出なかったり、水を飲んだ後すぐに吐くようなことがあれば腸閉塞の可能性がある」とだけ伝えておいた。

「無事、昨日の夜出産しました。たまごが出てきました」
Mさんが今日うれしそうに報告してくれた。
胃から腸に移るまでやはり数日かかったようだ。

それにしても生体というのは良くできているな。
サバイバルな数日であった。
これだけの反応があれば、荒れた内臓もそのうちよくなるはずだ。
 


- Web Diary ver 1.26 -