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犬を訓練する“最短”の環境は、訓練所に入所させ て連日の訓練を行うのがよい。
盲導犬の訓練では当然これが行われている。 最短というのは質を保証したうえで同時にコストカットを意味する。
盲導犬のように最初から使命が決まっているわんこだからこそ、ダラダラと訓練するのではなく『経済効率』を見据えたなかで最善の方法がとられているということだ。
だが、一般家庭犬の訓練の場合はちと状況が異なる。 すでに愛犬には所有者がいて、その家庭環境の中で育てながら、飼い主は現状に不安を感じあるいは将来に望みを託して訓練を依頼する。
そんな時には訪問訓練というサービスがある。 自宅に訓練士が訪ねてわんこを訓練し、飼い主にアドバイスを与える方法である。
これには訓練所での入所に比べ進度は遅くなるし高度な訓練には不利になるけど、実生活に即した満足度を得られるという利点がある。
で、カフェで私が行っているレッスンを改めて知っておいていただきたい。
私は過去において100頭以上の盲導犬を訓練してきたが、それは職業として年間平均5頭の訓練を25年繰り返してきた単純計算である。 連日正しく訓練すれば多くの犬はちゃんと育ってくれることを知った上での話だ。
だが、今の私には連日の訓練をする意志も気力も体力も環境もない。 私が行っているのは、単に基礎作り(プレトレーニング)である。
犬を育てるには相当なエネルギーがいる。 私は今、そのエネルギーを犬に向けているようで実は飼い主さんに放っているつもりだ。 うまく受け止めていただければ嬉しく思う。
なんてたって犬を育てていた人が育っていく姿を見るのが嬉しいだけのこと。 その思いを伝えるのが今の私のレッスンであり訓練ではないことを告白しておこう。
訓練なんて私にはもうできないと思う。 できるのは育てることだけ。育つ喜びを共有することだけなのだろう。
今日、アモの散歩途中で出会ったわんこがすれ違い様、ガウっときた。 もし今度来たらアモを守るためその瞬間に蹴飛ばしてやる。
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