|
秋田の盲導犬ユーザー“力(ちから)”から新年恒例の電話が先ほど入った。
「おお、俺だ。おめでとう!」 「おう、おめでとう。母ちゃん元気か?」(力の奥さんは2年前から癌に侵され体中に転移しているのに奇跡のように動いている) 「おお、生きてる。俺と息子残して死ねねえんだろうな。今年も旨いおせち食わせてもらった。感謝だぁ。」とうれしい言葉が返ってきた。
「セナ(盲導犬)の首輪まだ光ってるか?」と私。
去年、力から『夜歩くの怖いんだよな。駐車場から車が急にバックしてぶつかったり、セナと歩いていても真横を猛スピードで走り抜けたりするんだよな。『てめぇ気をつけろ』と怒鳴ると、『すみませーん。見えませんでしたぁ』って目開きのドライバーが謝るんだけど、いつか俺殺されるぞ』という悩みを打ち明けられていた。
「おめえが死ぬのはお国のためになるけど、盲導犬と歩いてる時に死なれたんじゃいろいろ問題が多くなる」 そう言って私はLEDで光る首輪を送ってやった。 実際はセナの首ではなくハーネスに装着しているのだが…
「おお、光ってる。相当目立つんだべな。あれからおっかない目に合ってねえけど、『力、おめえこの間の夜、赤信号で横断してたべ!』って余計なことまで言われるようになった。」と、目立ち過ぎの弊害を口にしてくれたのは何よりである。
「今年、セナも引退だぁ。アンビー(アビー)・マップ・セナそして次はもう4頭目だぁ。」 しみじみと力は言う。 「そっかぁ。また最初のうちは苦労するなあ」と私は覚悟を確かめた。 「んだ。タクシーに乗る時や飲み屋でまた言われる。」と力。 「え?まだ盲導犬のことでなんか言われるんか?」と私が尋ねると 「おお。」と力は言った後、少し間を置き 「タクシーも飲み屋も『犬はいいんだども、おめえは入れたくねぇな』って言うんだ」
大爆笑で今年が始まった。
5月か6月。力がセナとお別れし4頭目の盲導犬を取得するという複雑な心境で北海道に来た時、みんなで飲み会でもやりますか。
だってちょっとはいい年になって欲しいから…
|
|
|