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先週の火曜だか水曜日、ガーデンからカフェに戻ったMさんが「テンテン、たまご飲んじゃった」と言い出した。 事務所から出てきたばかりの私は「はあ?」と事情が呑み込めなかった。
話を伺うと、我が家の愛犬アモがいつも咥えているカモノハシの縫いぐるみのお腹に入っている3個のたまご(ピーピーと音の出るたまご型の代物)の一つをテンテンが横取りしたらしい。 それを取り返そうとしたMさんが執拗に追いかけたものだから、テンテンは慌てて腹の中に納めてしまった、ということのようだった。
よくある話である。 そういう時は、慌てて追いかけ『出せ!出せ!』と迫るのが一番よろしくない。
呼んでも逃げ回るわんこに対し、心は怒りに満ち『もしかして呑み込むのでは?』という不安があるときこそ、『あら、いいねえ。何持ってるの?』と最大の演技をして相手を油断させ、別のおもちゃなんかを見せながら近寄ってきたわんこの隙をついてさりげなく捕獲し、口から取り出したのち、怒りと安堵にまかせてぼこぼこにしてやるのが一般的な飼い主のベストである。
もちろん、その場に私がいたら『これ!テンテン。』と言っただけで彼女はペッとたまごを出したと思う。 だってぼこぼこにされることだけは避けたいと思うでしょ。(ちなみに過去において私がテンテンをぼこぼこにしたことはありません。名誉にかけて。でも『あ!本気なんだ』と感じさせたことはあります。)
ともあれテンテンはたまごを呑み込んでしまった。
あの時Mさんがあたふたしていたら、私は動物病院に行くことを勧めただろう。 そうじゃなかったから私は別のたまごを持ってきて、ナイフで切り開き『これならたぶん3日から5日で便に出るでしょう』と予想した。
同時に「(誰でも普通に買える)常備品で吐かせるなら方法もあるけど、前の犬は吐き戻したのはいいけど、分量が分からずに飲ませたものだから胃が荒れちゃってね…』と付け加えた。 そばにいたKさんがすぐにネットで調べて「23キロなら5tくらいが適量だって」と教えてくれた。 「あの時はその10倍は飲ませたかも」と私が言う話も聞かず、Kさんは『これまでいたずらで食べた物からしたらたいしたことない』と、様子を見ることになった。
「便が出なかったり、水を飲んだ後すぐに吐くようなことがあれば腸閉塞の可能性がある」とだけ伝えておいた。
「無事、昨日の夜出産しました。たまごが出てきました」 Mさんが今日うれしそうに報告してくれた。 胃から腸に移るまでやはり数日かかったようだ。
それにしても生体というのは良くできているな。 サバイバルな数日であった。 これだけの反応があれば、荒れた内臓もそのうちよくなるはずだ。
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