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仔犬の段階から将来を見据えた犬育てをするという意識を持つのはなかなかできるものではない。
とりわけ小型犬の飼い主や過去にそれなりの飼育経験を持っている方には、小さな大変さは最初から織り込み済みであって、生活に支障を及ぼさない限り大事と意識することはなく、実際に大きな問題と感じ始めた頃に犬の性格を意識し自らの育て方を振り返るのではないかと思う。
『可愛いから』とか『犬が好き』というだけで暮らし始め、現在の愛犬との暮らしに満足しておられる方は幸いである。
『もし、そうじゃない暮らしになったら…』と、私は懸念してしまう。 将来的に愛犬との暮らしが楽しいものであることが必然であればいいが、実際はそうでもないから…
生後3ヶ月弱だったサモエド×オーストラリアンシープドッグのテンテンが知り合いの獣医師の紹介でカフェにやって来たのは今年になってからだ。 リード歩行ではちょこちょこと好き勝手に動き回り、飼い主の足をおもちゃ代わりにかじり、叱ると唸り声を上げて興奮はエスカレートしていた。
仔犬の行動としては想定内であろうが、暮らしやすさを求める飼い主としては専門家に意見を求める分岐点でもある。 放置し手を加えなければ図体ばかりがでかくなって、身勝手で手に負えない大型犬になる可能性がある。 なぜならこの犬は3ヶ月弱なのに威嚇し制御に対して反抗しており、そこに遺伝的な気質があることが認められるからである。
紹介してくれた獣医師と行動した飼い主の決断は正しかったと思っている。
受け継いだ私は、生後4ヶ月になったばかりのこの仔犬に様々な刺激と基礎的なレッスンを行っているが、きちんとしたしつけや訓練を今行うつもりはない。 今の彼女に必要なのは社会経験であり、身の丈にあった道徳と振る舞いの醸成であり、なによりその中で成長を重ねる時間である。
できる限り飼い主と私の負担を軽減しながらレッスンを行い、テンテンの脳の解発に繋がるきっかけを与え続ければと思う。
テンテンは生後4ヶ月になり、標準的な柴犬よりずっと大きくなっている。
大きいから飼い主は問題意識を抱きやすいのだけど、小さいからといって小型犬の問題点が許されるのではないという自覚が必要であることも知っておこう。 様々な愛犬との暮らし方を認めたうえで平穏な社会参加を求めるのなら、むしろ小型犬の飼い主にこそ将来を見据えた意識が必要なのだがそれを知る人が少ないことも今夜指摘しておこう。
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