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今日は膝の調子もまあまあで4件のレッスンをこなした。
初来店の生後4ヶ月のクロス犬は無料お散歩チェックで対応したが、飼い主へのアドバイスはかなり充実した内容だった。
「毎日散歩していますか?」 「いえ、そんなには…」 「ここは静かな住宅街なのにこの子はおろおろしています。『え!何?これ何?あれ何?怖いよう!」の繰り返しです。」 「どうすればいいのでしょう?」 「1回に10分でもいいんです。これから社会勉強をさせてください。この子は今4ヶ月、乳歯が抜け始めていますよね。人間でいえば就学前辺りですか。でもあと2〜3ヶ月ほどで生理がきてもおかしくない年齢にまで成長します。犬の1年は人間の身体で言えば18年にも相当し、心はそれなりに肉体年齢に応じて変化していくものです。自我が芽生え自立心やそれに伴う反抗期もあるかもしれません。可愛いだけで過ごすにはちょっと無理があります。人間のように国語や算数を教える必要はありませんし、お座りやフセなんかも後でどうにでも教えることができます。『教える』なんてことは何歳になっても後から出来ることなんです。でも、『育てること』は今が重要で、毎日が社会科の勉強時間と考えるべきです。勿論、あなたは犬を自ら飼ったわけですから愛情に育まれているなんてことは当然だからここでは省いています。あなたの犬はまだ4ヶ月なのに吠えることがあれば遊びではない唸り声を出すこともあります。通常、その様な反応は生後6ヶ月前からで、現時点でそのような振る舞いがあるということは両親から受け継いだつまり遺伝的な要素が絡んでいると思われます。あなたを脅すつもりは全くありません。ただ、後になって『困った』と思うより、犬育てというのはややネガティブに捉えて、マイナス面をある程度把握して育て方に生かす意図的な刺激が必要なのです。氏より育ちの実践です。そのために必要なのが社会科と道徳の授業なのです。静かな住宅街を慣れるまで歩き、次は人通り車通りのあるところ。さらに商店街や通学通勤の時間帯。目標は札幌駅からススキノまで平然と歩けるようになることです。『教える』ことなんか後回しでいいんです。いいですか、2〜3歳以降の愛犬というのがあなたの作品なのです。」 長々と私は持論を展開した。
「あのぉ、室内でオシッコしたりゴミ箱イタズラしたり咬みつきが酷いんですが…」 「生後4ヶ月でなんにも分かっちゃいない犬をフリーにしてるんでしょ?人間ってなんて馬鹿なこと当たり前のようにするんでしょうね?『明日無事に生きてたらラッキー!』っていう飼い方なのに。』
ああ、話が長くなる。 その後の長い話を今日はカフェで行ったけど…
私は心理学も多少学んだから『記憶』についても理解しているつもりだ。 印象に残る喋り方や理解しやすい具体的引用も多用して脳に残りやすい配慮をしている。 だが、その時にどんなに人々が感心し印象的と感じたとしても、多くのことを伝え過ぎると何も伝えなかったのに近い結果しか残らず、具体的な記憶より『勉強になった』という意味のないものになる事実を恐れている。
いいですか。一度にたくさん質問しないこと。 それでなくとも火がついたら止まらない人間なのですから。
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