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正月のおせち料理から葬式に至るまで地方によって様々な習わしがあって、戸惑うことがあれば『なるほどな』と唸らされることもある。
今日は節分。 札幌では落花生を撒いて鬼退治をし福を招き入れる。 大豆でもピーナッツでもなく落花生というところに道産子の合理主義が伺われる。 撒いた後に拾い集めやすいし、大きさからして見逃すこともない。 何より殻を剥いて食べるから衛生的である。
北海道は道外各地からの移住・入植者を先祖に持つことが多いから様々な風習が今でも地域に残っている。 だが地域は違えど100数十年の間、開拓という苦労を共有してきた先人たちは、苦境の中でも過去の風習に囚われることなく、新たな方法を『やってみればいいっしょ』という観念で切り開いてきた。 ただの落花生なのに何故か私にはその象徴のように思える。 今は都会になった札幌では、他人をおおらかに受け入れる気質がかなり低下してしまった面もあるが、落花生を撒くたびに『風習に囚われない道民気質』を感じるのだ。
風習と言えば、盲導犬事業にとって北海道は恵まれていた。 今ほどではないが30年以上前から犬を室内飼育するという習慣があって、繁殖犬や仔犬を育てるボランティアがたくさんおられたのだ。 本州の協会はその面で苦労が多く、最近でも玄関先や庭で一日の多くを過ごす犬がいるようだ。 『いずれ犬の室内飼育が当たり前になるようになる』とマスコミの取材で当時答えていたのを思い出す。
25年ほど前、秋田県に初めての盲導犬を送り出すことになった。 「この犬があなたの盲導犬で、名前はリュウと言います」 私の説明に使用者のSさんが驚いたように言った。 「へー、犬に名前があるんきゃ!」 今度は私が驚いた。 「へー、Sさんの村では犬をどう呼ぶの?」 「○○んところのイヌとか屋号を付けて言う」
所変わればいろいろですなぁ。
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