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5歳のMダックス。 ペットショップ関連のブリーダーのところで繁殖目的で飼われていたのだろうが、偽妊娠が続いたのか・出産頭数が少なすぎたのかあるいは奇形ばかりを産む親だったのか、世話する割には金にならない代物扱いされたのだと思われる。 ブリーダーとショップ関係者はこの犬を処分する金を惜しんだのか、それとも間接的に殺すことが忍びなくせめてもの仏心がよぎったのか、その犬はペットショップの片隅に陳列されていた。
そしてその犬はゴールデン2頭と暮らすSさんの目にとまり、ショップはその犬に似合う服まで添えて無料でSさんに引き取ってもらったという。
Mダックスの経歴についてはSさんがショップから聞いた説明と私の分析によるものだ。
今日の午後、いつもはゴールデン2頭とやってくるSさんが緊張気味にMダックスを抱きながらカフェにやってきた。 仔犬なら「えぇ!Mダックス飼ったんですか?」と声をかけるところだったが、どう見ても違う。
「何かいわく付きのわんこみたいだね」と私は声をかけた。 「わかりますか?」とSさん。 事情を途中まで聞いて私は観察を始めた。
・犬には慣れているから他頭数で暮らしていた。 ・人にも慣れているからそれなりに可愛がられていたらしいが抱っこされるような可愛がられ方ではなく、大勢の中の一員として接してこられた様子。 ・社会経験は全く無さそうで見るもの聞くものに緊張していた。 ・右目に異常が見受けられた。 ・5歳とは思えないほど、歯と歯茎が老化し歯石が付着し、食生活と妊娠中の栄養不足が疑われた。 ・乳首を見ると妊娠あるいは偽妊娠もしくは出産経験があると分かったが、しっかりした授乳経験があるとは思えなかった。
やはり商売には向かない犬として処遇されたのだろう。
「室内で暮らすためのトイレのしつけすらできていないんです」 Sさんは苦労しているようだが、『Sさんに助けられて良かったね』と思う反面、ペットショップ繋がりのブリーダーに対して『まだ、そんなことやってるのか!』と憤りを感じてしまう私であった。
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