From the North Country

捨てる鬼と拾う神 2008年07月13日(日)

  5歳のMダックス。
ペットショップ関連のブリーダーのところで繁殖目的で飼われていたのだろうが、偽妊娠が続いたのか・出産頭数が少なすぎたのかあるいは奇形ばかりを産む親だったのか、世話する割には金にならない代物扱いされたのだと思われる。
ブリーダーとショップ関係者はこの犬を処分する金を惜しんだのか、それとも間接的に殺すことが忍びなくせめてもの仏心がよぎったのか、その犬はペットショップの片隅に陳列されていた。

そしてその犬はゴールデン2頭と暮らすSさんの目にとまり、ショップはその犬に似合う服まで添えて無料でSさんに引き取ってもらったという。

Mダックスの経歴についてはSさんがショップから聞いた説明と私の分析によるものだ。

今日の午後、いつもはゴールデン2頭とやってくるSさんが緊張気味にMダックスを抱きながらカフェにやってきた。
仔犬なら「えぇ!Mダックス飼ったんですか?」と声をかけるところだったが、どう見ても違う。

「何かいわく付きのわんこみたいだね」と私は声をかけた。
「わかりますか?」とSさん。
事情を途中まで聞いて私は観察を始めた。

・犬には慣れているから他頭数で暮らしていた。
・人にも慣れているからそれなりに可愛がられていたらしいが抱っこされるような可愛がられ方ではなく、大勢の中の一員として接してこられた様子。
・社会経験は全く無さそうで見るもの聞くものに緊張していた。
・右目に異常が見受けられた。
・5歳とは思えないほど、歯と歯茎が老化し歯石が付着し、食生活と妊娠中の栄養不足が疑われた。
・乳首を見ると妊娠あるいは偽妊娠もしくは出産経験があると分かったが、しっかりした授乳経験があるとは思えなかった。

やはり商売には向かない犬として処遇されたのだろう。

「室内で暮らすためのトイレのしつけすらできていないんです」
Sさんは苦労しているようだが、『Sさんに助けられて良かったね』と思う反面、ペットショップ繋がりのブリーダーに対して『まだ、そんなことやってるのか!』と憤りを感じてしまう私であった。
 

そばに居てくれるだけでいい 2008年07月11日(金)

  今日は朝から雨。
気温は低く肌寒いが先日降った雨は農業関係には物足りなかったから丁度良くしっかりした雨だった。
午後になって曇り空になったので、せっかくの休日を楽しみしていた我が家の愛犬アモの為に原始林へ出かけた。
ところが途中から再び雨が降り出し、大沢口に到着した頃は結構な雨脚になっていた。
長靴と大き目の傘を準備して入っていくとまるで雨季の密林の雰囲気が漂い、今にも日没を迎えそうな薄暗さであった。

アモが一緒だから別になんともなかったが、これが一人で迷い込んだ状況だと想像したら…
まあ仮に遭難したとなればそれなりに必死だろうから不安もあろうけど解決策を冷静に模索するのだろう。
それでもアモがいるのといないのとでは大違いだなと考え、『そういえばキャンプでも一緒だと心強いよなぁ』と彼らの貢献にふと笑みがこぼれた。

小型犬と暮らしている方も同じように感じるのだろうか?
たぶん答えはイエスなのだろう。
だって何かが起こったところでアモは相手を撃退するとか、獲物を仕留めて私の元へ運んでくることなぞしないけど、とにかく傍にいるだけで安心させてくれるし、不審な状況を人よりも先に察知して知らせてくれ、これはどんな犬種でも可能なのだろうから。

まさに『人イヌにあう』(コンラート・ローレンツ著)原始の世界の安心感である。

ただ犬種や個体による温度差は確実に存在する。
私の動きを頻繁に確認しながら行動しているアモとは違い、今夜のお泊り犬シーズーのゴンタなぞは本能におもむくままの行動を30分以上は行い、そのうちふと我に返って『ここはどこ?何があったの?』の世界で生きている。
それでもそこに居てくれるだけで安堵するのはどういうことだろうかねぇ。
 

サミット終了! 2008年07月09日(水)

  1.成功かどうかは別にしてサミット終了バンザーイ!
上空がヘリコプターの札幌⇔洞爺湖ルートだったので、これで静かな日々に戻れる。
2.サミット不況は昨日で終わって今日のカフェはいつも通りに戻り一安心といったところでバンザーイ!
3.明日から定休日だバンザーイ!

ってなことで今夜は頂き物の北海道産芋(厚沢部産のさつまいも)焼酎『喜多里(きたさと)』をあおっている。
南九州の芋焼酎のように芳醇だがこちらはさっぱりしていて爽やか系である。
ロックにするとさらさらと喉を通り過ぎていき、心地よい香りがほのかではなくしっかり漂うのがよい。

唐突だが、商売には近所の同業者との競争があってしかるべきだとは思う。
実はカフェの近くには大型ホームセンターや大型スーパーそれに家電量販店が複数あったが、先月からはそれらの要素すべてを含めたさらに大きなショッピングモールがオープンし、どこが生き残るのかそれとも共存するのか見ているほうがハラハラしてしまう。
競争で安い商品が並ぶのはありがたいけど、万が一どれかが撤退するとなると地元の人たちの雇用が失われてしまうのは辛いものがあるから。
大企業や有名企業だからとて利益を上げれるかどうかなんて今の時代全く分からないのはニュースで見ているし…

ではドッグカフェはどうかというと、私は個人的にはたとえ競合していても増えて欲しいと思っている。
理由は単純。いろいろあったほうが便利だし、利用者としてありがたいから。
カフェを経営している私たちもまた愛犬アモといろんなところへ出かける利用者であり、愛犬と一緒に入れるお店があるというのは実にありがたいと感じている。

商売的にも競合するほどの過当競争がある分野ではないから新規参入も大いにありだろう。
留意すべきことがあるとすれば、『犬好きなオーナーが経営し、犬と入れるお店』だけがウリでは確実に行き詰ってしまうということで、いくつかのプラスαの特徴が必要だということだ。

今回のサミットでファーストレディたちが昼食をとった真狩村のマッカリーナは昨年私たちも訪ねていたが、あの田舎の環境の中でひときわ雰囲気がよく、しかもゴージャスで工夫された美味しい料理を提供してくれた。
そんなに大きな利益が上がっていたとは思えないが、これまでの努力が今回の結果となって表れ、今後の経営が楽しみになっている。

ドッグカフェナガサキも今夜の芋焼酎のようにそれなりの特徴を持ち、人々やわんこたちに酔いの心地よさのような満足を与えられるようこれからもガンバリます。
酔いの心地よさを今夜も存分に体験している人間からのメッセージでした。
 

ええどぉー北海道! 2008年07月07日(月)

  サミット関係者にとってどうなのかは分からないが、我が枝豆横丁も強引に含めた農業関係には恵みとも言える久しぶりのいい雨が今夜降った。
涼しいのにむしむししていた空気も一遍に吹き飛ばしてくれたみたいで、夜半の強風はひんやりと爽やかである。

未だ外出禁止令が続いているのかと思われるような閑散とした中、様々なトラブルが重なって吠える傾向が強くなったMシュナウザーと飼い主さんがカフェを訪ねてくれた。
よく吠えるし少々のコントロールでは反応しないワンちゃんだったが、歩いてみるとこれがまたいい性格の憎めないわんこで、これまでの彼の経験が彼を小さな器に閉じ込めようとしている段階であった。
蓄積された経験によって作られた厄介な一部の行動を変えるにはそれまでの数倍の時間がかかるだろうけど、基本の制御を忘れず、なによりこれまで通りの愛情を注ぎ乗り越えてもらいたい。

釧路で暮らしているマルク(ゴールデン×ラブ)もニセコのペンションで仲間たちと休暇を楽しんだ帰りにカフェを訪ねてくれた。
初めての川下りに挑戦し、飛び込んだ川が自分の足も届かない深さだったことに慌てふためいて溺れるように犬かきを始めたとのこと。
きっと大笑いされたことだろうし、その笑い声がマルクの不安を取り除いてもくれたことだろう。

サミットど真ん中の洞爺湖町から故眞知子の娘で我が家の愛犬アモの育ての親でもある友ちゃん夫妻も訪ねてくれた。
「今日は雨で農作業が休みだから」というのどかな理由だった。
お土産のそら豆を焼いて食べたら、ホクホクとして香ばしく豆の深い味と旨さが最高だった。

サミットがあってもなくても北海道の自然や農畜産物は地元の人間にさえ最高のもてなしを与えてくれている。
そこで暮らせていることそのものが私にはうれしい。

北海道の収穫時期と自然を今年もまたより深く実感したい。
だから8月の末か9月の初めにカフェは5連休程度の休みを取りたくなった。
いや絶対そうしよう。
大きな完熟メロンを真っ二つにし、充分に冷えたオレンジの果肉にスプーンを滑らせながらそう決心した。
 

洞爺湖サミット 2008年07月06日(日)

  日曜だというのに昨日とはうって変わりカフェは静かな一日だったから、洞爺湖サミットで今日の札幌には外出禁止令でも出たのかと思った。

実際テレビの字幕速報ではすぐそばの高速道路が頻繁に通行止めと解除を繰り返していることを報道しており、サミット会場へ向かう要人御一行が通過するたびに規制しているのが想像された。

サミットではどうせ差し迫った地球環境のことを口先だけで案じながら、結局はそれぞれの国益を優先させる駆け引きの場となるのだろう。
ようやく経済発展という光明が見え始めた中国やインドがそれにブレーキをかけるはずもないし、中東やロシアなどオイルマネーでこの世の春を満喫している諸国もしかりである。
彼らより早くに消費文明を謳歌し地球環境を悪化させた先進諸国が反省を踏まえて危機意識を説いたところで、これまでの数十年、先進諸国からの屈辱に耐えていた他国にとっては千載一遇のチャンスが今訪れているのである。

古今東西老若男女甲乙丙丁、一度甘い汁の味を覚えたならたとえそれが禁断の果実だとうすうす感じていても滅多なことでは手放すことはないのが人の性(さが)である。

果たして人類の英知は人の性をどうやって乗り越えるのだろう?

恐ろしい表現だが、人類もまた自然の一部なら先進諸国がもたらした環境破壊によって、弱い地域からの淘汰が待ち受けているだろうし、その前に人の性による戦争を再び繰り返すことにもなろう。

賢いリーダーたちの集会だから、私のようなこんなあさはかな人間が抱く愚問を杞憂と掃き捨てるだけの答えを当然それぞれが持っておられるのだろう。
それともデモ行進を繰り返す人々に正義があるのだろうか?
彼らの主張や行動は様々だが、少なくとも抱く懸念は理解できる。

地元北海道で開かれるG8プラスが何らかの成果を挙げることを願うと共に、地球環境というテーマで世界を変革するなら今後は国益まみれのG8ではなく科学者やNGOを交えた国連機関において実効力そして強制力のある会議を設置して欲しい。

個人の意識を高めてのエコ活動も大切だが、そんな悠長なことを言ってられるのは今のうちだろう。
次世代車が汎用化されるまでの間、例えばロンドンや札幌のような街で自家用車の燃料が月10リッターの配給制になったとしても止むを得まい。

そうなればカフェは閉店するしかないが、国連機関の非常事態宣言が出されれば喜んで従い、駐車場の枝豆横丁をせっせと広げる仕事に励むことにしよう。
 

八つ当たりしそう!? 2008年07月04日(金)

  枝豆横丁の枝豆が先週から発芽し、その成長を楽しみにして毎日何度も観察していたのに、数日前から5羽の親子ガラスが面白半分に横丁荒らしを繰り返し、せっかくの新芽を抜いては引き裂いたりしている。

この親ガラスは数年前からガーデン前に僅かに残されたニセアカシアの木を遊びの基地にしているので言ってみれば我が同胞であった。
そのよしみもあってゴミの日のステーション荒らしは時々懲らしめる程度にしていたのだが、Kと私の横丁を無法者の集団のごとく我が物顔で、ましてや生活のためではなく面白半分で荒らされたのではこれは捨て置けぬ。

かくしてワイアットアープは立ち上がったのであった。
というより、『どんな平和主義者であっても戦友が次々に撃ち殺されたときには、相手に対する憎しみがメラメラと燃え上がって、自制が利かなくなり無謀な振る舞いをする。だから戦争は恐ろしいのだ。』という叔父さんの言葉を思い出しつつ、そうなっていく自分を感じてしまったのだ。

ところが如何せん、相手は空中を自由に飛び回り、野性の中で戦術をしっかり鍛錬しているチームであるのに対し、我が方は竹やり程度の装備しかない気持ちだけ高ぶった素人である。
おまけに酒を飲んで寝ると目覚ましが鳴るまでは夢の中で人生の半分を生きている柔な人間なもんだから、目が覚めた時には既に枝豆横丁は荒らされ、ただただ歯がゆい思いをして石をぶつけたくなる悔しさに打ち震えていたのだった。

そこで私が取った方法は横丁のレンガブロックにネジを打ち込み、そこにカラスには見えづらい色といわれる黄色いテグス(釣り糸)を張り巡らせて、不覚に侵入すると足に絡んでカラスがビックリする仕掛けをこしらえた。

寝ていたから今朝の状況は確認できなかったが、枝豆は無事で、恐らく驚いたカラスが悔し紛れに置いていったと思われるサクランボウの赤い粒が残されていた。
「へへ、ざまぁみろ」の気分だ。

だが、頭がよく執念深いカラスのことだ。
こちらの作戦を見抜き、テグスから致命的な被害を受けることが無いと分かったなら倍返しのいたずらを明日にでも我々は被るかもしれない。

そしたら私は次の作戦に頭を巡らせなければならないのだが、そんなことよりきっとカラスにしてやられた悔しさにわなわなと震えている可能性もある。

明日は土曜日。
カフェに来られる方々は自らの愛犬をしっかり制御なさってください。
もし明朝枝豆横丁が荒らされていたなら、空飛ぶカラスへの私の怒りが妙な方向へ行ってしまわないとは限りませんから…

戦闘体勢に入っている人間は目のぎらつきが違うといいます。
サミット前に自らの安全を確保するためにも、異常な人間の目を確認する訓練をしましょう。
もしかしたら明日カフェで見られるかもしれませんぞ。
 

先に逝くものたちのために 2008年07月01日(火)

  早いものでもう7月、いよいよ夏本番を迎える。
お泊り犬に老犬がいるせいか夏を迎えるとその健康状態が心配になる。

老犬は暑さに弱く、とりわけ心疾患や呼吸器系の疾患を持っていると排尿便に出す動きだけで負荷がかかりゼーゼーと呼吸を乱し、場合によっては発作を引き起こしてしまうことがある。
だからといって抱きかかえてばかりの移動だと犬の筋力は衰え、寝たきりを早めてしまうことになる。

この段階で飼い主にはある覚悟が必要となる。
“形あるものは壊れ、命あるものは尽きる”という万物の定めを受け入れることだ。
人によっては薄情だと感じ辛く思えるかもしれないし、死の現場を見たくないと考える人もいるかもしれないが、実はそこからが老犬介護のスタートとなるのだ。

老犬介護とはQOL(Quality of Life:生活の質)と愛犬への惜別の思いとの闘いでもある。
別れを少しでも先延ばしし死を受け入れないで延命したい気持ちは分からないではないが、その過程における自分の行動が後悔の度合いを増減させることもある。

極端な例を挙げるなら、延命のため入院させて流動食のカテーテルと血管確保の留置針を装着し、たとえどんなに優しい先生がいたとしても家族と離れた病院のケージの中で数週間延命するのと、苦しいけれど暮らし慣れた環境の中で発作を繰り返す都度家族に抱かれ・さすられ、励ましの声を聞きながら絶命する死の瞬間を見届けられる違いがそこにはあり、中間としてのペインケアや安楽死がある。

出来るのに愛犬の死を見届けたくない飼い主にはなって欲しくない。
愛犬の死の瞬間には是非とも飼い主が立ち会って欲しい。
今や人間の死に立ち会うことが少ない社会であるが故に愛犬の死くらいは感じるままに受け入れて欲しい。

いかんいかん、老犬を見て死ばかりを考えてしまった。
生を考えるべきであった。

まずはあの連中の聞く耳を持たない振る舞いに寛容さを示すこと。(横暴であると感じたなら跳ね除ける勇気も必要)
次に清潔に保つこと。(これは犬が嫌がっても絶対行うこと)
さらに食生活ではこの世の春を実感させる程旨い物を食わせ、この世に未練を残させることが重要だ。

愛犬の死を見届けて自分の人生を考えることができたとしたらこれほど素晴らしいことはない。

あとは残りの人生に反映させよ。
 

平凡、なれどそれぞれの人生 2008年06月30日(月)

  今年の札幌の初夏は実に北海道らしく、日中は爽やかで夕方から涼しくなり夜にはカーディガンを一枚羽織りたくなる。
まるで数十年前のガイドブックのまんまの気候だ。

月曜日で暇なカフェだったので私は特売(名誉のため)198円で買ったお気に入りの麦藁帽ならぬいぐさ帽をテンガロン(実際には1ガロン位の水しか入らないカウボーイハット状)にして被り、ガーデンの草むしりにいそしみ土をいじった。
ガーデンフェンスにぶら下がったフラワーポットの花をいじった。
駐車場の枝豆横丁ではうれしいことに殆どが発芽し、そのうちの二つはカラスに引っこ抜かれて手遅れ状態だったが可能性を信じてちょっと手を加え水をやった。

私は福岡で炭鉱の経理マンの息子として生まれ、ジフテリアで死にそうになったらしいがそこを何とかクリアし、炭鉱の衰退と共に家族で奈良に転居し、小学生の頃は十数頭の野良犬を保護し、中学から大学を卒業するまで吹奏楽に没頭し、親元を離れ札幌に転居した後25年間盲導犬と視覚障害に関する仕事に魂を捧げ、3人の子供を育て、退職のあと離婚を経験し、1年の放浪時代にKとめぐり合い現在ドッグカフェナガサキを開業して5年になっている。

その男が今日、ガーデンで草むしりなどをしていた。
今夜のこの欄では、自分をさらけ出してそれがどこにでもある光景であるということを伝えたかったのと、それぞれの人間には皆それぞれの人生があり、何気に見ている社会にいろんな人間が暮らしているという当たり前のことを現代の若者に考えて欲しかったのである。

夜11時を回ったので私のベッドで寝ているお泊り犬13歳のゴンタをトイレに出そうと抱きかかえた。
普通、犬なら抱き上げただけで目を覚ますのに、ゴンタはくたっとしている。
『ついにくたばってしまったか』とやや心乱したが、そうっとベッドに下ろすとすややかな寝息をたてて悦に入っておる。

年寄りとは可愛いもんぞ。
うまく付き合えばいろんな知恵と生き様を教えてくれる。
人生焦るでない。
何が成功でどの時点での暮らしがどうのなんて決まった物差しなど無いんだから。
他人と自分を傷つける以外の価値観とか選択肢なら何でもありだ。

ガイドブックに書かれていることがすべて正しいとは言えないし、人生のガイドブックなど存在しないけれど、今年の札幌のように爽やかな気候が『社会の平年』となることを願って止まない。
せめて『汝、食し、生活に必要なければ、殺すなかれ』だ。
 

ペットショップがテナントに入る悲しい時代 2008年06月25日(水)

  午前中は降水確率60%の予報がはずれ朝から強い陽射しが降り注いでいた。
先週の土曜日に枝豆横丁に蒔いた種はまだ発芽していないが地中でしっかり成長してくれていることだろう。
日付けが変わる頃ガーデンに出ると冷たい風が時折ごうごうと吹き荒れている。昼夜の寒暖の差がメロンなどの果物の甘さを引き出しているそうだが枝豆には関係ないのかしらん。

明日から定休日なので夜中になってのんびり今朝の折込チラシを見ていた。
新聞紙2枚分の大きなチラシには明日がグランドオープンの複合商業施設の宣伝広告が踊っており、別のチラシには同じ敷地のホームセンターのものもあった。

このようなショッピングセンターがオープンするたび
「ああ、また生体販売をするペットショップが増えるのだな」とため息が出て、せっかく便利な商業施設ができても喜びは半減以下になる。
5年前に開業し、同じく生体販売をするテナントが入ってる大型ホームセンターとは目と鼻の先だから両者の生き残りをかけた熾烈な販売合戦が行われるのだろう。

Mダックス39800円、柴犬・チワワ48000円…
原価を下げ、維持費を削減するため様々な低待遇が仔犬たちには待ち受けているはずだ。
オープンしたばかりの見知らぬショップに連れてこられ展示販売される仔犬たちは初日の今夜どんな気持ちで夜を過ごしているのだろうか?
せめて昼間の喧騒に疲れ果て、周囲にいる仲間の寝息にささやかな安らぎを感じて眠りについていることを願うばかりだ。
だが、仔犬だから夜中に空腹を感じ夜鳴きする子もいるだろう。
我慢できずに屈辱の排泄を寝床でしなければならないのだろう。
誰もいない店内を想像するだに気の毒になる。

さらに4〜5ヵ月後どれだけの仔犬たちが消費期限を過ぎ処分されることになるのか。
大型犬の仔犬ならそんな猶予すらないはずだ。

枝豆を育てて売ってるんじゃない。犬だよ。
犬好きの若者たちよ。どんなことがあってもあんなところで働くんじゃないよ。
君たちの夢とはかけ離れた内情若しくは惨状を目の当たりにしてショックを受け、退職した良心的な人間を何人も知っているし、目を瞑り続けるうち感性が失われていく悲しい人間も知っている。

最近食品偽装がニュースになってるよね。
最初からそれが分かっていたらそんな会社で働くかい?
展示型生体販売を行うショップからの内部告発がいずれ問題になる日が必ずやって来る。
ただ、告発するために紛れ込んでも現在の法整備ではどうしようもない屈辱を味わうだけだ。
だから職業として商売として認めないで無視することもひとつの抵抗だ。

展示型生体販売など…
人として倫理としてそんなショップは存在させてはならないのだ!
 

変な社会 2008年06月23日(月)

  タバコを1箱1000円にしたいそうな。
メタボ健診で引っかかると数ヶ月ごとにチェックが入るそうな。
喫煙による健康被害を抑制し、肥満による成人病予防を行うことで将来的に国の医療費削減にも繋がるという理論付けがなされているらしい。

タバコをやめ肥満を無くせば病気にならずポックリ死ねる人が増えるという理屈だろうか?
なるほど、知り合いの何人かは苦労して禁煙した挙句、交通事故で突然この世を去ったり、ダイエット後に動脈瘤破裂で亡くなったりしているから医療費抑制に貢献したことになるのだろう。
それでもしぶとく75歳まで生き延びたら、末期否後期高齢者医療制度によって病気の治療も容易に受けられない仕組みまで出来上がっている。
さらに、ろくな仕事も選ぶことができずハケンで日々の生活を繋ぎ、将来に夢や希望も見いだせない今の社会の若者たちが子孫を残すことなく自らの命を絶ったり、自棄を起こして他人を道連れにするようなことまでも医療費抑制や将来の食糧不足対応の中に織り込み済みであったならなんと恐ろしい社会(政治)だろう。

運転免許取得1年間は若葉マーク、75歳以上の運転者には枯葉いや失礼もみじマークの表示が義務付けられている。
そのうちスピード違反などの無謀運転が多い20代の若者などにも深緑マーク?が義務化され、車に乗っただけで年代がばれてしまうような社会が出来上がるかもしれない。

そんな人間社会をよそにカフェの老犬たちはいたってのんびりした生活を送っている。
ラブラドールのももちゃんは13歳を過ぎても生活に不安なく気儘な老後だ。
シーズーのゴンタも13歳で未去勢なのに私たちのお気に入りで、お泊りの時は私のベッドで寝て、朝抱き上げると硬いウンチをひとかけらベッドに落としていたりする。
先日からお泊りの柴犬のふぶきは15歳で、寝ているうちにシッコを漏らすという話だった。
初日こそそうだったが、普通に排尿便に出し食生活を管理すると2日目からはそんなことはなくなっている。
ただ、介護保険が適用されればありがたいほどの手間がかかる。
飼い主のKさんに「万が一の時の連絡先は?」と聞くと「いいんだ。どうせすぐには戻って来れないところ(海外)に行くんだから…」

人間社会を生き抜いている飼い主のシビアだけど哀愁のこもった言葉が返ってきた。
 


- Web Diary ver 1.26 -